Analog Devices(ADI)は、多相電力量計測アプリケーション向けに完全絶縁型A/Dコンバータ(ADC)「ADE7913」を発表した。
同製品は1つの電流チャンネルと2つの電圧チャンネルの合計3つの24ビット絶縁型ADCを搭載しているほか、同社特許技術であるisoPowerを採用した絶縁型DC/DCコンバータも内蔵している。
また、1個の水晶発振子または1個の外部クロックで、最高4個まで同製品と同期が可能なほか、温度センサや基準電圧、リニアレギュレータ(LDO)を内蔵している。
1電流チャンネルで1電圧チャンネルの「ADE7912」も用意されており、いずれもすでにサンプル出荷を開始している。1000個受注時の単価はADE7913で5.71ドル、ADE7912で5.42ドルとなっている(いずれも米国での販売価格)。
さらに併せて同社は電力量計の磁気耐性を保証した5kVの絶縁定格対応の電力量計測チップセットを発表した。同社は1990年代より電力量計測用ICを発売しており、すでに累計で約5億個を提供しているとのことで、同チップセットはこの系統に連なるものになるという。
チップセットは、最高4個まで接続可能な完全絶縁型ADC「ADE7933」と3相計測IC「ADE7978」で構成されている。ADE7933は同社の特許技術であるiCouplerとisoPowerを採用した3チャンネルΣΔADCで、信号ラインの絶縁と絶縁されたDC/DC電源を構築することが可能。
一方のADE7978は、クラス0.5のメーター向けに有効/無効、および皮相電力量の計算が可能なほか、THDを含む包括的な電力品質測定が可能(電力品質を維持できる情報を提供する形式。高調波歪みそのものを計算する機能は非搭載)。
同チップセットを活用すると、通常の電子電力量計で用いられるカレントコイルではなく、より小型で安価なシャント抵抗を利用することが可能となる。
すでにADE7978、ADE7933ともにサンプル出荷を開始しており、1000個受注時の単価はADE7978が1.90ドル、ADE7933が5.71ドルとなっている。
なお、同社では想定アプリケーションとしては、主に工業/産業用としているが、家庭用でもシャント抵抗では損失が生じるがコストとシステムサイズが許容されるのであれば、採用が進む可能性があるとしている。