日本マイクロソフトは、9月27日と28日の両日、東京・品川のホテルで、プライベートイベント「The Microsoft Conference 2012」を開催。このイベントでは、Windows 8、Windows Server 2012、次期Officeに関するさまざまなセッションが設けられた。
2日目の28日には、次期Officeの新機能を説明するブレイクアウトセッションが開催されので、ここではそれをレポートする。
「~ 次期 Office はここが違う ~ 新しい Office のコンセプトと新機能解説」のセッションでは、Office ビジネス本部 シニアプロダクト マネージャー 輪島文氏が、Word/Excel/PowerPointなどの進化のポイントをデモを交えて紹介した。
同氏は、「新Officeはクラウド、サーバを統合して提供する」と開発コンセプトを説明。その背景として、「デバイス」、「クラウド」、「人のつながり」という3つのワークスタイルのトレンドがあるとした。
そして、デバイスでは、スマートフォンやタブレットのビジネス利用が広がっている点、クラウドでは大企業ユーザー中心にクラウドへの移行が進んでいる点、人のつながりでは、ビジネスにおいてもソーシャルネットワークの活用が増えている点を挙げた。そして、これらの変化に対して、新Officeがどのような新機能を提供するかを説明した。
Excelの新機能
Excelでは入力をサポートする「フラッシュ フィル」という機能を新たに搭載する。これは、ユーザーが入力したデータから規則性を認識し、自動的にデータを埋め込む機能。たとえば、姓と名のセルが分かれたシートがあり、ユーザーが別のセルにこれらを統合して入力した場合、Excelが規則性を自動的に判断し、以下のセルも同じ規則で自動的に姓+名にして入力してくれる。
また、Excelには「おすすめグラフ」という機能も搭載。入力されているデータのパターンや数式に合ったおすすめのグラフの種類が自動的に表示される。
入力されたデータパターンから自動的におすすめの機能を表示するという観点では、データ分析用に「おすすめピボットテーブル」という機能も追加される。
また、ピボットテーブルでは、 1日や1カ月単位など、時間を軸としたデータの抽出ができる「タイムラインスライサー」という機能も追加されている。
さらにExcelの分析に関しては、「パワービュー」というレポート機能が追加され、データをグラフ化して見える化する。一度作成したレポートは、定義し直すことなく、最新データを使って再作成することも可能だ。また、作成したレポートはそのままSharePointに保存し、チーム内で共有できるという。
PowerPointの新機能
PowerPointでは、色指定をカラーパレットを使わず、スポイトを使って写真や図から抽出できるようになった。これにより、カラーパレットで微妙な色の違いを見比べることなく、ダイレクトに色を選択できる。
また、ガイド機能が追加され、オブジェクトを等間隔で配置できるようなったほか、コメント機能も追加されている。
発表者にとって便利な「発表者ビュー」の強化も行われている。発表者ビューでは、現在プロジェクタに表示されてスライドとともに、次のスライドも表示されるほか、レーザーポイントも搭載。スライドの一部の拡大も可能になった。
タッチ操作
Windows 8の特徴であるタッチデバイスへの対応では、Officeアプリ共通機能として、マウスモードと切り替えて利用できる「タッチ モード」を搭載。タブレット PC使用時に指先での操作が行いやすいよう、リボンを拡大表示する。また、「Ctrl+C」や「Ctrl+V」のコマンド操作を簡単に行えるミニツールバーが搭載される。
OneNoteでは、Windows 8向けのOneNoteも提供され、リングメニューが表示され、フォントや文字の色の変更を指先で行えようになっている。
クラウド連携
クラウド連携では、Offie全アプリでSkyDriveへの直接保存が可能になり、マルチデバイス環境をサポートする。そのため、新OfficeではWindows Live IDでのログインが可能で、そのIDに紐づいたSkyDriveのファイルを最近使ったファイルに関連付ける。そのため、Windows Live IDを使い分ければ、ビジネスとプライベートを分けてファイル管理が行えるという。
Office Web Appsも進化し、WebApps上で共同編集が可能なアプリケーションが拡大し、従来のExcelとOneNoteに加え、WordとPowerPointにも対応した。
エンタープライズユーザーの向けの機能ではクイック実行という、Officeのフル機能をOffice 365のサイトからストリーミングダウンロードして利用できる機能も強化され、ダウンロード途中から一部機能が利用できるようになるほか、コントロールパネルの「プログラムと機能」にも追加され管理できるようになっている。この機能は、ユーザーごとに最大5つのデバイスで利用でき、プログラムは仮想化環境で実行されるため、旧Office製品と共存させながら利用できる。