フレンテ・インターナショナルは9月27日、東海大学医学部感染症研究室の古賀泰裕教授と共同研究した乳酸菌「LS1(L.salivarius TI2711株)」について、同乳酸菌がヒトの口腔内に存在した場合、約8割の被験者から歯周病菌を減少させる効果があることをヒトによる臨床試験で確認したと発表した。
同社では、LS1を含む錠菓を服用すると、歯周病菌数が減少することを発表済みだが、今回さらに研究を進め、LS1が口腔内に存在した場合の歯周病菌の1種である「P.gingivalis菌」に対する作用について検証を実施した。
LS1およびキシリトール、ハイドロキシアパタイトを配合した錠菓を用いたヒト臨床試験を実施したところ、歯肉縁下プラーク中にLS1が存在する時、約8割の被験者のP.gingivalis菌数が有意に減少するという結果が得られたという。このことから、歯肉縁下プラーク中P.gingivalis菌数の減少は、LS1によって引き起こされている、ということが明確となった。
プロバイオティクスとは、消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な働きをもたらす有用細菌のことをいう。研究グループは、このプロバイオティクスの考え方を口腔内に応用し、慢性細菌感染症である歯周病をプロバイオティクスによって予防する研究を行っている。
口腔内プロバイオティクスとして、歯周病原細菌に対して抑制効果のある乳酸菌として健康なヒトの口腔内より分離したのが、LS1というわけだ。LS1は乳酸菌にも関わらず、酸に弱いという特徴を持つ。通常、乳酸菌は乳酸を産生するが、LS1は自身の産生する酸で死滅してしまうため、過剰の酸を産生しないのである。
被験者80名をLS1服用群39名とプラセボ服用群41名に無作為に振り分け、LS1含有錠菓またはプラセボ錠菓を1回1錠、1日3回12週間連日服用させた。服用前、服用開始4週、12週後、および服用中止4週後に歯科健診を実施し、歯肉縁下プラークの採取を実施。採取した歯肉縁下プラークから細菌DNAを抽出し、Real-time PCRでP.gingivalis、L.salivarius菌数が測定された。
LS1服用群の39名について、服用開始4週時点でLS1が検出された20名では平均値、中央値ともに減少し、有意差が認められた形だ。さらに、LS1とP.gingivalis菌が口腔内に存在した18名においては、14名についてP.gingivalis菌が減少していることが確かめられたのである。
口腔内の環境は個人差があり、生活習慣や食生活でも違ってきる。同社では、今後、P.gingivalis菌数を減少させる効果のある乳酸菌LS1の、口腔内における定着率を上げるための研究を進めていくとしている。