立命館大学は9月26日、久留米大学の協力を得て、これまで存在は予想されていたが所在が明らかになっていなかった新種の細菌型クロロフィル(葉緑素)「バクテリオクロロフィル(BChl) f」を発見したと発表した。

成果は、立命館大薬学部の民秋均教授、久留米大学医学部の原田二朗助教らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、9月19日付けで英国オンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

今回発見されたBChl fは、1975年にBChl eが発見された際に、その類縁体としてその構造が予想されていたが、生体からはなかなか見つからず、今回の発見まで40年近い歳月がかかったという経歴を持つ。

研究グループは2003年から調査を始め、今回、光合成を行う細菌の変異体内にBChl fの存在を確認し、併せてそれらが光合成に関与していることを証明した形だ。これはBChl g以来、約30年ぶりの発見であり、この発見によりBChl aからgまでの細菌型クロロフィル7種類がすべて発見されたこととなる。

7種のBChlの分子構造

今回の研究成果は、光合成に関わるクロロフィルなどの色素分子の進化過程を考える上で大変重要であり、今後、天然の光合成の機能を分子のレベルで明らかにするばかりでなく、太陽光エネルギーを物質に変換させる「人工光合成システム」の実現(人工的なソーラーシステムの開発など)にも弾みがつくものと期待され、バイオエナジー獲得の新規アプリケーションの開発における研究分野においても、大きく貢献すると考えられると、研究グループは述べている。