富士通と富士通フロンテックは、大垣共立銀行の通帳・カードレスな生体認証ATMシステムを構築したと発表した。同行は、富士通の手のひら静脈認証技術を活かし、通帳やキャッシュカードがなくてもATMの金融サービスが利用できるしくみを9月26日より運用開始した。

大垣共立銀行に導入された「生体認証ATMシステム」画面イメージ

構築したシステムは、万が一の災害時にもサービス継続を可能とし、手のひら静脈認証で本人確認を行うことで、ATM利用者は通帳・カードがない場合でもATMで金融サービスを受けることができる。事前に手のひら静脈データを登録しておくことで、日常のATM利用時には、生年月日情報の入力、手のひら静脈認証、暗証番号入力の3ステップで、引き出し、預け入れ、残高照会が可能になる。

手のひら認証技術は認証精度が高いだけでなく、体内情報を用いることによる偽造の難しさ、手をかざすだけの簡単な操作性、外的な影響を受けにくい安定的な認証方式という特徴がある。指や手の甲に比べ、静脈パターンが複雑かつ安定しており、本人拒否率0.01%、他人受入率0.00008%以下という高い認証精度とあわせて高信頼のセキュリティを実現し、指紋のように表面の摩耗や乾燥など体表の影響をほとんど受けることなく、スムーズな登録・照合が可能だという。

システムイメージ

また、東日本大震災では通帳やキャッシュカード、運転免許証などの本人確認資料を持たずに避難した人への金融サービス提供が大きな課題となったが、同システムの導入により、災害時に通帳やキャッシュカードを紛失された顧客もATMサービスを利用することができる。

富士通グループは、今回の構築で培ったノウハウを活かし、今後も手のひら静脈認証を用いた利便性とセキュリティを兼ね備えたサービスを提供していく。