アドビ システムズは、米国時間24日に発表されたWeb製作ツール群「Adobe Edgeツール」について、記者説明会を行った。
Web業界のめまぐるしい速さで移り変わるトレンドに対応するため、従来のようにひとつのツールでさまざまな機能を提供するのではなく、用途によってツールを細分化した「Adobe Edgeツール」を発表したのだという。
Web標準で動的なコンテンツを作成する「Adobe Edge Animate」
「Adobe Edge Animate」は、HTMLやJavaScript、CSSを利用し、アニメーション対応のコンテンツを作成するツールだ。
同ツールのバージョン1.0については、「Creative Cloud」を通じて機能制限なしで無償提供される。有償版利用者のみならず、無償版の利用者も対象となっている。今後、バージョンアップ後は有償提供されるが、バージョン1.0のツールに関しては継続して無償利用できるとのことだ。
レスポンシブルWebデザインを実現する「Adobe Edge Reflow」
PC、スマートフォン、タブレット端末など、多様化するデバイスごとに単一のWebページを最適化する「レスポンシブルWebデザイン」。昨今のトレンドではあるものの、実装には手間のかかる作業を容易にするツールが「Adobe Edge Reflow」だ。
このツールに関しては目下開発中で、2012年内にプレビュー版をリリース予定となっている。
ライブプレビューが可能なコードエディター「Adobe Edge Code」
「Adobe Edge Code」は、動作が軽快なオープンソースのコードエディター「Brackets」をベースに構築された、HTMLやJavaScript、CSSのコードエディター。Google Chromeと連携して行う「ライブプレビュー」や、ショートカットキーによる関連CSSの表示などができ、このツール自体がHTML CSS javascriptで作られているため、ユーザー自身が拡張することが可能となっている。
今回リリースされたのはプレビュー版で、「Edge Animate」と同様、有償、無償問わず「Creative Cloud」から利用可能となっている。
モバイル端末のテスト表示をサポートする「Adobe Edge Inspect」
母艦となるPCを操作することで、モバイル端末を使ったWebページの一括テストを可能にする「Adobe Edge Inspect」。weinreと連携し、リモートデバイスのデバッグを行ったり、テストに用いているすべてのデバイスのスクリーンショットを一括で撮影することができる。
同ツールについて、無償利用が可能。ただし、無償版は同時接続できるモバイルデバイスが1台に限定されている(有償版は台数制限なし)。有償版は「Creative Cloud」、あるいは単体サブスクリプション(月額1,000円)にて提供される。
無償利用が可能なWebフォントサービス「Adobe Edge Web Fonts」
無償で利用可能なWebフォントサービス「Adobe Edge Web Fonts」では、Adobeがキュレーションした500以上のWebフォントのライブラリから任意のものを活用できる。フォントはTypekitによって配信される。現状 、提供されているのは欧文フォントのみとなっている。
モバイルアプリをクラウド上で構築する「Adobe PhoneGap Build」
フレームワーク「Adobe PhoneGap Build」上に構築された、クラウド上でモバイルアプリケーションを作成可能なサービスが「Adobe PhoneGap Build」。近年は多様なモバイル端末が普及しているが、単一のコードベースでiOS、Android、Windows Phone、BlackBerry、webOS、Symbianなどに対応している。具体的な使用に関しては同アプリレポート記事を参照してほしい。
同ツールは無償利用も可能だが、プライベート環境で作成可能なアプリはひとつに限定されている(有償版であれば25個のプライベートアプリを作成可能)。オープン環境でのアプリ作成であれば、無償版であっても無制限に行うことができる。有償版の提供は「Creative Cloud」、あるいは単体サブスクリプション(月額1,000円)にて提供される。
タスクに合わせたツールを自由に取り入れる
冒頭でも触れたとおり、これまでのWeb制作ツールはデザインからパブリッシュまでを一括で手がけることが主流だった。しかし、この「Adobe Edgeツール」では、タスクに合わせて個々人のワークフローに自由にツールを取り入れることができるようになる。
同社の主力Webソリューションである「Adobe Dreamweaver」について、「Creative Cloud」版のアップデートによって「Edge Animate」との連携もサポートされた。サブスクリプション版「Dreamweaver」でも同様のアップデートは行われるということで、特定の機能に特化したツール群「Adobe Edgeツール」と「Dreamweaver」が連携することで、Web標準による制作環境がより整えられていくことが期待される。