情報通信研究機構(NICT)は9月24日、スタック電子と共同で、超小型テラヘルツ波プローブを開発したと発表した。詳細は、9月24日~28日にオーストラリア・ウォロンゴンで開催される「赤外とミリ波・テラヘルツ国際会議(IRMMW-THz 2012)」にて発表される。
近年、人体に対する安全性の観点から、非破壊・非接触測定が可能なテラヘルツ波を用いた分光技術が注目されている。同技術は、空港の保安検査、郵便物の検査、国内外の文化遺産の診断など、様々な用途に利用されている。しかし、従来のテラヘルツ波計測システムは大型であったため、測定の自由度が制限されていた。
今回、電気光学サンプリング法に基づいた超小型のテラヘルツ波検出システムの開発に成功。光ファイバをベースとし、光通信で用いられる小型モジュール組立技術を採用することにより、小型化を実現した。同時に、空間光学系で用いるミラーの振動などをなくすことで高安定化を可能にした。特に、テラヘルツ波を感知するプローブは、直径10mm、長さ60mmの超小型のペン型形状を採用し、市販品と比較して1/100程度の体積を実現した。また、今回製作したテラヘルツ波プローブでは、従来の市販品以上の3THzまでのテラヘルツ波を検出することができる。
今後、さらにセンサの高感度化・広帯域化を行うとともに、同機構で開発された超短パルス光源を用いたテラヘルツ波源と組み合せることにより、テラヘルツ分光システムの構築を目指すという。また、今回開発したテラヘルツ波プローブは超小型のため、ロボットアームに搭載したり、一列に多数並べてリニアアレイセンサを構成することなどにより、遠隔での測定や広範囲の測定、製造ラインでの検査への応用が期待されるとコメントしている。