STMicroelectronicsは、発券・決済・電子IDの安全性と柔軟性を高めるスマートカード用セキュアマイコン「ST23ZR」を発表した。
同製品は、ISO 14443 A/Bに準拠した非接触リーダを自動的に区別し、適切なプロトコルで応答する機能を持つ。デュアルプロトコルにより、一方の規格で動作するソフトウェアアプリケーションを作成すれば両規格に対応できるという。また、古い単一プロトコルタイプなどに対応した従来のリーダでもスムーズに動作する。
非接非接触プロトコルISO 14443-A/Bに加え、接触型カード用規格ISO 7816-3をサポートするデュアルインタフェースデバイスで構成されており、世界中の公共交通機関に多く採用されている電子発券技術(CalypsoおよびTmoney)にも対応している。非接触専用アプリケーション用の完全なワイヤレス通信を提供する。
同製品は、デュアルインタフェース対応の「ST23ZR08」、非接触チップの「ST23ZC08」の2品種ある。近年、メモリベースの乗車カードのハッキングが増加し、セキュリティへの関心が高まっている。このため、セキュアマイコンベースの乗車カードへの移行が進んでおり、韓国や中国などでは、交通ネットワークを従来のメモリカードソリューションからセキュアマイコン搭載カードに移行することを決定した。STでは、CC EAL5+に新たに認定された同製品のターゲットになるとコメントしている。
銀行やパスポートに使用するハイエンドのセキュアマイコンと同様に、最新のカードセキュリティの全コンセプトを新しいセキュアマイコンに反映させた。さらに、ソフトウェアによるセキュリティを実装した競合製品と異なり、タンパ耐性を持つハードウェアを使用することで、Triple DES(3-DES)やAES 256などの堅牢なセキュリティアルゴリズムを実行する。また、ハードウェアによるセキュリティモデルには、動作の高速化といったメリットがある。「ST23ZR/ZC」は、Common Criteria EAL5+やEMVCoなどの要求レベルの高い政府およびクレジットカードのセキュリティ規格に準拠しており、不正行為やなりすましなどの脅威に対する耐性を確保している。
「ST23ZR/ST23ZC」は、プロセッサコアに8/16ビット「ST23」を採用、非接触およびデュアルインタフェース対応製品の両方にユーザーデータを格納するためのEEPROMを8KB搭載する。非接触データ転送速度は106~848kbps。
「ST23ZR08/ST23ZC08」は、機密保持契約(NDA)締結後に入手可能。ウェハ、マイクロモジュール、カット済みダイで提供される。