STMicroelectronicsは、32ビットマイコン「STM32 F3」の量産を開始するとともに、同製品の開発案件向けに開発キット「STM32 F3 Discovery Kit」を発表した。
「STM32 F3 Discovery Kit」は各種MEMSセンサ(ジャイロセンサおよび電子コンパス)を搭載しており、9項目の自由度(DOF:degrees of freedom)を持つ。同マイコンファミリの信号処理および演算機能を利用することで、AHRS(Attitude Heading Reference Systems:姿勢方位基準装置)などのセンサフュージョンに基づくアプリケーションを低価格で実現することができ、センサフュージョンおよび高い演算能力が、携帯型ゲームや拡張現実、光学手ブレ補正、携帯型ナビゲーション、ロボット、産業用自動化システムなどの各種アプリケーションにおいて、先進的な3次元モーション検知システムを可能にするという。
また、マイコン「STM32 F3」を使用する様々な開発案件を開始する上で、エンジニアが必要とするマイコン「STM32F303」とチップセット、表示用LED、プッシュボタン制御、入出力ピンヘッダ、ホストPCとの接続用USBを搭載したプロトタイプボードなどが含まれている。さらに、マイコンの全ピンがアクセス可能なポイントに引き出されているため、テストやデバッグを容易に行うことも可能だ。ボードに搭載されているMEMSセンサには、STの広範なMEMSポートフォリオ(センサおよび慣性モジュールiNEMO)にある3軸デジタルジャイロセンサ「L3GD20」と6軸地磁気モジュール「LSM303DLHC」が採用されている。開発キットはAltium、Atollic、IAR、Keilなどの各主要ベンダが販売する「STM32」のソフトウェア開発環境と互換性がある。
この他、「STM3 F3 Discovery Kit」に加え、2種類の評価ボードが用意されており、「STM32 F3」シリーズをサポートする開発エコシステムとともに、能力を完全に引き出すことができる。
なお、「STM32F3 Discovery Kit」は、数週間以内で入手可能となる予定。価格は10.90ドル。2012年6月に発表した「STM32F30x/STM32F37x」シリーズ含む「STM32 F3」の量産は、2012年第3四半期に開始される予定。「STM32F30x/F37x」シリーズの価格は、1000個購入時で約2.54~3.86ドルおよび約2.24~3.69ドル。