アドビ システムズは9月18日に発表会を行い、「Adobe Creative Cloud(以下、Creative Cloud)」のメンバーシップ向けに、最新アプリケーションである「Adobe Digital Publishing Suite Single Edition(以下、ADPS Single Edition)」の提供を開始した。

ADPS Single Editionは、コーディングを一切せずに、InDesignのような操作感でモバイルアプリケーション開発を行うためのツールだ

同アプリケーションは、日本国内では2012年春から製品版の発売が行われていたものの、Creative Cloudによる提供は初めてとなる。このアプリケーションを使うことで、デザイナーが1行もコードを書くことなくモバイルアプリケーションを作成し、Apple App Store経由でiPadに配信できるようになるなど、モバイルアプリケーションの開発プロセスが大幅に簡略化される。

「Digital Publishing Suite Single Edition」について(左)、Creative Cloud提供版からの新機能

また、Creative Cloudでの提供から、新たな機能が加わっている。まず、同製品で作成したアプリケーションのプレビューはいったんクラウド上にアップロードした後にタブレット端末にダウンロードして行うフローとなっていたが、この度の機能追加によって機器をUSB接続することでテストが可能となったことが挙げられる。次に、従来は高解像度(iPad第3世代)、標準解像度(iPad1、ならびに2)とに分けてアプリケーションを作成する必要があったのが、いずれにも対応したひとつのアプリケーションを製作可能となった。さらに、App Storeのアップデート通知に対応したため、雑誌アプリの次号告知なども行える。ちなみに、3つ目の機能についてはCreative Cloud契約中のみの提供となっている。

同製品の従来のワークフロー(左)、Creative Cloudから提供される製品による新たなワークフロー(右)

ちなみに、同製品は現在のところiPadのみの対応となっており、同じくAppleが発売するiPhoneへの対応についての質問が挙がったところ、アドビ システムズの西山正一氏は未定としながらも、前向きに取り組んでいきたいと述べた。

Digital Publishing Suiteのファミリー製品(左)、Creative Cloudの価格(右)

なお、発表会の最後にはCreative Cloudメンバーシップ限定で追加されたIllustrator6の新機能についてのデモンストレーションも行われた。

ファイルを形成する要素をすべてまとめるパッケージ機能(2バイトフォントについてはアドビのものに限り収集)

配置した画像の解像度をすぐ確認できる「リンクパネル」

埋め込みの画像情報からpsdファイルを作り出してくれる「埋め込みを解除」