1日に数回、インスリンを注射している糖尿病患者は日本で約100万人いるという。ほかに、成長ホルモンやワクチンなどを自己注射している患者もいる。こうした人たちの肉体的、精神的な負担を軽くしようと、医療機器メーカー「テルモ」(東京都渋谷区)が世界で最も細い注射針を開発した。
先端部の直径が0.18ミリメートル(mm)のこの注射針は、同社が金属加工の「岡野工業」(東京都墨田区)と開発し、「痛くない注射針」として2005年に販売した注射針よりもさらに0.02mm細い。
針はステンレス板を筒状に丸めて成形し、薬剤を抵抗なく注入できるように外径・内径とも根元で太く、先端に行くほど細い。皮膚への挿入をよりスムーズにするため、針の先端が日本刀の切っ先のような非対称刃面構造に加工している。
新しい注射針は従前品よりも直径が10%細くなった分、ヒトの皮膚表面に1平方センチメートル当たり100-200個の割合で存在する「痛点」に触れる可能性が低くなり、痛みを感じにくいという。