Analog Devices(ADI)は、電圧トラッキングや同期機能を組み込んだ、入力範囲の広い同期降圧DC/DCコントローラ「ADP1851」を発表した。
2製品は、コンフィギュラブルコントローラシリーズを拡充する製品で、入力範囲が2.75~20Vという広く、3.3/5V/12Vといった通常用いられている電圧レールでの動作が可能なっている。ともに、アプリケーションや顧客の要望に応じて、入力フィードフォワードによる電圧モードコントローラとしても、電流モードコントローラとしても動作するように構成できる。用途としては、広範囲な通信ネットワーキング、産業用、医療、およびコンスーマアプリケーションにおける高効率で高電流かつ、高速な過渡応答が必要なポイントオブロードアプリケーションなどに最適という。
また、並列接続が可能で、外付けFETを使うことで、最高50Aの電流供給を実現できる。「ADP1851」は同期入力が特長で、煩雑なビート(唸り)周波数を除去し、多数のデバイスを位相偏移同期で用いる場合に、システムの入力キャパシタンスを低減する。トラッキング性能も特徴の1つで、制御された起動を可能にする。高精度を可能にするパワーグッド機能を用いることで、シンプルでロバストなシーケンシングを実装することができる。
電流モード制御では、オフ期間の電流を検出する。これにより、ローサイドFETのオン抵抗か、あるいは、より高精度のためには直列センス抵抗を用いてノイズ耐性を改善する。また、外部調節可能なスロープ補償機能により、電流モード時の性能を最適化する。外付け抵抗の設定値のわずかな調節により、ノイズ性能を改善するために、電流モード構成ができるだけでなく、入力ラインフィードフォワードを用いて優れたラインノイズ除去を実現する。
さらに、選択可能なパルススキップモードを備えており、軽負荷動作時の効率を改善する。デバイスはまた、高精度な電流制限機能も備えていて、外付け部品の最適なサイズ選択ができ、PCBスペースを最適化する。
設計は、同社のADIsimPowerツールによってサポートされているので、周辺部品の選定において、効率、トータルのスペース、トータルコスト、部品点数などの優先順位に合わせたシミュレーションが可能。これにより、従来煩わしかったカットアンドトライなどの作業が不要なため周辺部品の選定が容易になり、トータルの設計時間が短縮される。
なお、パッケージは「ADP1851」が4mm角の16ピンLFCSP、クロック出力付きの「ADP1853」は4mm角の20ピンLFCSP。リファレンス精度は温度範囲–40℃~+125℃で±1%、–40℃~+85℃で±0.5%。価格は「ADP1851ACPZ-R7」が1000個受注時で1.05ドル。評価ボードの「ADP1851-EVALZ」は60ドル。すでに量産出荷を開始している。