STMicroelectronicsは、高精度3次元測位が可能な小型圧力センサ「LPS331AP」を発表した。

モバイル分野において活用されつつある位置情報に基づくさまざまなサービスにおいては、その測位精度が重要な問題となり、空間的解像度、信頼性、物理的な大きさ、堅牢性、コストなどの相反するさまざまな制約に対応しながら、位置を3次元的に特定することが求められるようになっている。

水平位置(緯度・経度)を求めるソリューションでは、4機以上の衛星から信号を受信できる最適な条件で機器の水平位置を1m以内で計算可能な全地球航法衛星システム(GNSS)が採用されている。同社がCSRと開発した実証済みの屋内ナビゲーション向けソリューションは、衛星からの信号を受信できない状況でも、機器の水平・垂直位置を求めることができるほか、3次元方向(垂直高度)に関しては、高度が上がるとともに圧力は徐々に下がるため、信号を受信できる衛星が4機未満の場合、大気圧の方がGNSSより高い精度で測位することが可能。また、260hPa(高度1万mの空気圧)から1260hPaヘクトパスカル(海面下1800mの空気圧)の空気圧を測定することが可能、数十cmの高度変化も検出できるという。

同製品は、圧力センサをモノリシックシリコンチップ上で組み立てることができる独自のMEMS技術「VENSENS」を採用することで、ウェハ間のボンディングを不要とし、信頼性の向上を実現している。またセンサ素子は、ギャップをコントロールし、内部圧力を規定したエアキャビティ上に形成された柔軟性のあるシリコン膜をベースにしており、このシリコン膜は、従来のシリコン微細加工膜より薄く、内蔵された機械式ストッパにより破損から保護される構造となっている。さらに、外圧の変化に応じて膜が収縮するたびに電気抵抗が変わる小さな構造体である、ピエゾレジスタも膜に組み込まれている。

抵抗の変化が測定されると温度補正を施した後、I2C/SPIインタフェースを介して機器のホストプロセッサが読み取りできるデジタル圧力値に変換される。ODRは1~25Hz(選択可)、消費電力は低解像度モード時で5.5μA、高解像度モード時で30μA。供給電圧は1.71~3.6V、動作温度範囲は-40℃~+85℃となっている。

なお、パッケージは3mm角のHCLGA-16L。価格は1000個購入時で約2.6ドル。すでに量産を開始しており、Samsung Electronicsの最新世代のスマートフォンに採用されているという。また、設計ならびに製品開発期間を短縮するサンプルおよび評価キットも提供中だという。

高精度3次元測位が可能な小型圧力センサ「LPS331AP」