ライフネット生命保険は9月11日、ネット選挙に関する調査を実施し、その結果を分析して発表した。同調査は、モバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)で2012年7月19日から7月23日の5日間に実施され、15歳から59歳の男女を対象とした1,000名の有効回答を集計したもの。
50代が積極的に参加し、"若年層の選挙離れ"が進む現状
選挙への参加率の現状を把握するために、国政選挙の投票にどの程度参加しているか(不在者投票も含む)を聞いたところ、「毎回参加している」と「ほぼ参加している」を合わせた"アクティブ層"が7割(71.8%)となった。
年代別で比較すると、50代は"アクティブ層"が83.5%と高い数値を示しているのに対し、20代は62.0%となり、50代と比較して20ポイント近い差が表れた。同社はここから、若年層の"選挙離れ"を読み取っている。
インターネットでの情報発信は街宣車・選挙ポスターより効果的
次に、候補者選定に関する情報の影響度について実態を探るために、これまでの国政選挙で投票した経験のある736名に対し、既存の情報源は候補者選定にどの程度影響を与えるかを質問した。その結果は、「テレビの情報」が最も「影響を与える」と回答した割合が高く、5割半(55.8%)を占めた。次点で「新聞の情報」が5割(51.4%)、「家族や友人の意見」が4割(40.9%)と続く。
「インターネットの情報」については、「影響を与える」との回答が3割(30.0%)となった。現状、選挙期間中の候補者ホームページの更新など、得票に繋がると判断される情報発信などは禁止されている状況ではあるが、「街宣車からの挨拶」(23.5%)や「選挙ポスター」(20.7%)といった、既存の選挙活動よりも有権者に影響を与えている割合が大きくなった。
また、どういった要素で候補者を選んでいるかについても質問したところ、「公約やマニフェストで選ぶ」の項目で「あてはまる」とした割合が最も高く8割(79.1%)となり、次いで「好感度や人柄で選ぶ」が7割半(73.9%)。また、「外見の良さで選ぶ」では2割半(26.4%)、「握手されると弱い」では1割(12.5%)となった。
もしインターネット選挙が解禁されたら?
現在、日本では選挙期間中に候補者や第三者がインターネットを利用して選挙活動を行うことが禁止されているが、これらが解禁された場合、どのような変化が起こるのか質問をしてみた。
全回答者(1,000名)に対し、ネット選挙が解禁されたら政治や選挙に対する意識・行動はどのように変化すると思うかを質問したところ、「候補者の情報収集により積極的になると思う」の項目で「あてはまる」との回答が5割半(55.3%)となった。
そのほか、「あてはまる」の同意率が高かった項目は「投票参加の意欲が高まると思う」(54.9%)と「政治に関する興味が高まると思う」(54.9%)で、それぞれ5割半となった。ネット選挙の解禁によって、政治に対する関心・投票意欲の向上が見込めそうだ。
年代別で比較をすると、「投票参加の意欲が高まると思う」では10代で『あてはまる(計)』が6割半(64.0%)、「政治に関する興味が高まると思う」では20代が6割(61.0%)となった。
ネット選挙解禁に関連して、全回答者(1,000名)に対してインターネットを利用したクレジットカード決済の少額寄附、いわゆる「ネット献金」について、応援する政治家に行いたいかどうかを質問したところ、「前向きに検討したい」は1割未満(8.4%)に留まった。年代別で比較をすると、10代(10.5%)や20代(12.5%)で「前向きに検討したい」がやや高くなり、特に、20代の"アクティブ層"では1割半(16.1%)となった。
首相を国民が直接選ぶ制度に"賛成"の声多し
国民が首相を直接選ぶ“首相公選制”について、メリットとデメリットを説明したうえで賛成か反対か質問したところ、「賛成派」(67.5%)が「反対派」(32.5%)を上回った。年代別で比較をすると、『反対派』は若年層で多く、10代では約半数(49.0%)。また、『賛成派』の割合は、これまで投票に参加している割合が高い層ほど高くなり、アクティブ層では7割半(74.1%)となった。