ジャパンブルーエナジー(JBEC)、大和リース、豊田通商および三井化学の4社は、「HIT事業研究会」を発足させ、下水汚泥から水素ガスを製造する実証試験に着手したことを発表した。なお、大和ハウス工業、トヨタ自動車もオブザーバーとして参加している。
同研究会は、JBECが所有するバイオマスガス化技術「BLUEタワー技術」(画像1)を利用することにより、現在一般的である化石燃料からの水素製造ではなく、その多くが焼却処分されている下水汚泥からの水素製造を目指したものだ(画像2)。
研究会では、各地の下水処理場にBLUEタワー技術を導入することで、将来普及が見込まれる燃料電池自動車(FCV)や定置型燃料電池などへ水素を供給し、地産地消型の水素イノベーションタウンの実現(低炭素・循環型の街づくり)に貢献したいと考えているとしており、参加する各社の専門的な知見、人材、ネットワークなどを結集し、バイオ水素「BLUE水素」に関する技術ライセンス、プラント建設、製造水素の流通・販売などを共同事業として推進していく予定だ。
また研究会はJBECが所有する島根県出雲市のBLUEタワーの実証プラントにおいて、下水汚泥を原料としてバイオ水素を製造する実証試験に着手しており、これまでの試験では、BLUEタワー技術を用いて下水汚泥を加熱ガス化することで、水素を主成分とするガスを得ることができ、バイオ水素の原料としての「下水汚泥」の持つポテンシャルの確認に成功しているという。
今後は、実証プラントでの連続運転試験により、バイオ水素の製造技術を確立すると共に、商用規模のバイオ水素製造プラント、モデル事業の構築を目指すとしている。
なお、BLUEタワー技術の最大の特長は、熱媒体として「アルミナボール」を使用することにある。熱分解器において、木質チップや下水汚泥などのバイオマス原料が、高温に加熱された多量のアルミナボールに接触することで、メタンなどのバイオガスが発生。さらに改質器において、バイオマスガスがより高温のアルミナボールと水蒸気に接触し、水蒸気改質反応などを経て、バイオ水素が製造されるのだという。このアルミナボールの循環により、熱が各部に伝わるだけでなく、従来プラントの機器トラブル(閉塞など)の主要因となるタールの発生抑制・除去を可能としているというわけだ。