パナソニック デバイス社は9月4日、自動車の燃料噴射装置の駆動回路などの昇圧電源回路に最適な小形形状と高耐振動性を実現した面実装タイプの車載パワーチョークコイル「ETQPDH240DTV」を発表した。
自動車の燃料噴射装置の駆動回路などの昇圧電源回路に搭載されるチョークコイルは、現在、トロイダルコイルタイプと呼ばれる大形でディスクリート実装する製品が主流だが、市場からは小形の製品が強く要望されている。今回、独自のE型形状に成型したダストコアと平角銅線エッジワイズコイルを組み合わせた構造を開発。これにより面実装タイプで、小形形状を実現した車載パワーチョークコイルを製品化した。これにより、ガソリン直噴インジェクタ駆動回路、ディーゼルコモンレールインジェクタ駆動回路、モータ駆動回路などの昇圧電源回路向けに最適な小形化ニーズに応えていくとコメントしている。
また、車載用パワーチョークコイルには、面実装、小形化と同時に、高い耐振動性も要求される。そこで、平角銅線エッジワイズコイルの引き出し部分を、樹脂モールド本体へ密着させる新構造の樹脂モールド2端子構造で、業界トップレベルの高耐振動性となる5Hz~2kHz/30Gを実現した。プリント基板への実装性を高めることが可能となり、高信頼性にも寄与するという。
パワーチョークコイルの高効率・大電流化には、必要なインダクタンス値を確保しつつ、直流抵抗と高周波抵抗を抑え、損失を低減させることが重要となる。同製品では、独自の金属磁性材組成を有した低損失のダストコアを採用。さらに従来の丸線銅線ではなく平角銅線を採用することで発生する浮遊容量を減らし、インダクタンス値を36μH、直流抵抗を25.8mΩ、高周波抵抗を50mΩ(at 20kHz)とした。これにより、業界トップレベルの低損失で、高効率・大電流化を実現したと同社では説明している。
なお、耐熱保証温度は150℃/2000時間。価格は1500円。9月より月産20万個で量産を開始する。