SAPジャパンは8月29日、2012年上半期のビジネスに関する記者説明会を開催し、代表取締役社長の安斎富太郎氏が同期の業績やビジネスの進捗状況について説明を行った。同社の同期のビジネスは好調で、売上総額が3億6,000万ユーロと2ケタ成長を達成したという。
SAPの2012年上半期はグローバル全体でも好調であり、ソフトウェア関連の売上は57億7,000万ユーロと、10四半期連続で2ケタ成長となった。特に、第2四半期のソフトウェアの売上は過去最高の10億ユーロ以上となった。
SAPジャパンでは、重点事業領域として、「SAP HANA」を基盤に「Applicatiotn」「Analytics」「Mobile」「Database&Technology」「Cloud」を掲げており、同氏はそれぞれについて上半期のトピックを紹介した。
「Applicatiotn」では、SAP ERPの二けた成長が挙げられた。同氏は「"ERPはもう終わっている"と言われているが、われわれは2ケタを達成した。これを後押しした要因としては、グローバル化と標準化がある」と説明した。
「Mobile」については、「これまで、日本企業ではモバイル化が進んでこなかったが、ここにきて、金融や製造業でモバイルソリューションの導入が好調」と同氏。
2012年上期において最も動きがあったのが、「Database&Technology」だろう。今年4月、2010年7月に買収したサイベース製品と「SAP HANA」の統合を図り、データベース市場への本格参入を宣言したのだ。これに伴い、HAHAおよびTechnology営業部門とサイベースのアイエニウェア・ソリューションズの営業部門を統合し、データベース・テクノロジー営業統括本部が創設されている。
あわせて、製品統合ロードマップ「Real-time Data Platform」の発表、「Sybase ASE for SAP ERP」の一般出荷が開始された。
同氏はSAP HANAの採用が「世界で500社以上であるのに対し、日本は30社以上ある」として、日本がグローバルをリードしていると述べた。HANA、Sybase ASE、Sybase IQの共存については、「HANA上で共存させるか、もしくは、HANAをプラットフォームとして統合するかといったことを考えているが、いずれにせよ、この3製品を購入した顧客が『2重投資』となることは絶対にない」という。
加えて、同氏はサービスでも売上が好調であることを挙げた。サービスの総売上は28%増だが、プレミアム サポートプログラム「SAP MaxAttention」は29%の伸びとなっている。同氏は、SAP MaxAttentionの顧客のサービスに対する満足度が10点中10点もしくは9点ばかりであると、顧客の同社のサービスに対する満足度の高さをアピールした。
下半期の事業戦略については、「HANAについては、『ERP on HANA』を年内には発表する予定であり、HANAのファンを増やすべく、HANAアプリを開発する日本の企業を支援していきたい。モバイルについては、当社のアプリだけしか動かないプラットフォームではなく、デバイスやプラットフォームを問わないオープンかつセキュアなプラットフォームを提供していきたい」と、同氏は説明した。
さらに、同氏はグローバルのSAPに対するSAPジャパンの存在意義について、「SAPジャパンがグローバルのSAPに対して貢献できることは3つある。1つは『収益性』だ。現在のところ、日本はAPJの中で最も売上が高い。今後、インドや中国に売上トップの座は奪われるかもしれないが、収益の面では貢献できると考えている。2つ目は『イノベーション』で、日本では先進的な技術が取り入れられている一方、日本企業は機能に加え、セキュリティやクオリティに対して厳しく、そのニーズにこたえていくことでよい製品を作りあげている。3つ目は『人材』だ。手前味噌になるが、日本のスタッフは優秀だが、グローバルで活躍できていない。現在、ドイツに日本の人材を送り込む取り組みを行っているが、もっと活躍の場を広げていきたい」と語った。