ロームは、国際標準規格IEEE802.15.4gに準拠した特定小電力無線モジュール「BP3596」を開発したと発表した。
近年、あらゆる分野で省エネの意識が高まっており、各国で効率的なエネルギーの利用に向けた取り組みが拡大している。中でも、住宅では機器同士をネットワークでつなぎ、電力需給のモニタリングを行うことで、機器を効率的に制御するHEMS(Home Energy Manegement System)に注目が集まりつつある。エネルギー管理に必要な電力の「見える化」のために、スマートタップなどの利用により、さらなるエネルギーの管理・制御システムへの期待が高まると言われている。
こうした中、2012年7月に開放された920MHz帯は、既存の無線との電波干渉を起こしにくく、低消費電力でありながら長距離のデータ通信が可能な電波帯として注目されている。ZigBeeやBluetoothが使用する2.4GHzに比べて、電波の回り込み特性に優れているため、壁や障害物がある場所でも安定な通信を確保することもできる。また、すでにアメリカ、中国、韓国、オーストラリアで使用されており、欧州でも開放が検討されるなど、世界で共通して使用される周波数帯となりつつあり、今後もますます市場が拡大すると見られる。
この920MHz帯にした対応した同製品は、グループ会社であるラピスセミコンダクタの無線通信LSI「ML7396B」を使用することで、業界トップクラスとなるスリープ時0.9μAの低消費電力を実現。スマートタップや家電製品などあらゆる機器に搭載でき、低消費電力の無線ネットワークが構築できる他、電池駆動の機器にも使用できる。また、チップアンテナを内蔵しており、すでに国内電波法認証を取得しているため、セットに組み込み、すぐに無線設備として使用できるほか、無線通信実現までサポート体制を提供することで、設計負荷の低減を図ることが可能だという。
なお、同製品はROHM Electronics Dalian(中国)で生産される。サンプル価格は1万円。8月からサンプル出荷を開始し、9月から月産10万個の体制で量産を開始する予定。