企業成功や経営を論じた本は数あれど、当たり前と思われていることが実は成功につながらないこともあるらしい。例えば、「経験豊富な華麗な履歴書の持ち主を起用せよ」――多くの人が同意するルールだが、必ずしも正しくないことがあるそうだ。
Open Forumのコラム「The 5 Unwritten Rules That Will Kill Your Business(あなたの会社をダメにするおかしな常識5つ)」が、一般では常識と言われているけれども、実は疑うべきルールを挙げているので、そのポイントを紹介しよう。
(1)お客様は神様
お客様は神様である――日本のサービス業では当たり前とされているルールだが、これにも限界がある。「気まぐれで過度な要求を出すのは、最も利益率の低い顧客であることが多い」と筆者。結局のところ、相手にとって適切なサービスを提供できないということは、自社事業との相性が悪い顧客と言えるのかもしれない。成功している企業は、特定タイプの顧客にフォーカスしており、自社にフィットしない顧客をフィルタリングしているという。となれば、無茶な要求に無理して答える必要はない、というわけだ。
ここは1つ、「自社にとって正しい顧客なら、常に正しい」と常識を変えてみよう。
(2)新入社員は全員試用扱いに
新入社員は自動的に90日間の試用期間とする――日本企業でもよく用いられる制度だ。この背景には、新しく入る社員は自身の雇用が会社にとって失敗ではなかったことを実証しなければならない、という考え方がある。「われわれの判断が失敗じゃなかったことを実証せよ」ではなく、「何ができるのか見せてほしい」という態度を持とう。
そのためには、新入社員を歓迎し、会社に良い印象を持ってもらう必要がある。結果、モチベーションが高まり、最大限のパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。
(3)成績のよい営業マンは昇進
営業トップの社員を管理職に昇格させたところ失敗したという例を聞いたことはないだろうか? 営業に長けているからといって、他の面でも優れているかというとそうとは限らない。ある分野で並外れたスキルを発揮した社員がいれば、その分野で伸びるよう支援するべき、と筆者は記している。
(4)収益がすべて
ベンチャー企業は特に黒字・赤字にこだわりすぎるのは良くないようだ。収益を上げているのか、損失が出ているのかは、企業にとって生命線となる重要なことだ。だが、これだけで企業の成功が決定されるわけではない。「顧客やコミュニティにどのような影響を与えているのか」「どのようなイノベーションを実現できたのか」など、成功を測定できる指標を収益以外にも持つべきだという。
(5)経験豊富な優秀な人材を雇え
学歴、経歴ともに文句の付けようのない履歴書を持つ優秀な人材であっても、実際に働かせてみると期待通りとは限らない。やる気やその人の価値は「経験がある」だけではわからない。そうであれば、経験がなくても、教え込むことができる潜在性を着眼点にして起用したいもの。