エプソンは21日、ビジネスインクジェットプリンタの新商品9機種を発表した。内訳はA4カラーインクジェットプリンタのミドルクラスが3機種、エントリーモデルが3機種、そしてモノクロインクジェットプリンタが3機種。A4カラーインクジェットプリンタ6機種は9月20日より、モノクロインクジェットプリンタ3機種は11月初旬より発売される。
同社のビジネスインクジェットプリンタが目指す方向性
エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏によれば、同社が2011年に発売したA3MFP(複合機)の市場は、2010年度下期と比較して238%(同社調べ)にまで伸張。競合企業との2社競合によって市場に対する認知が高まり、結果的に同分野が活性化したと指摘。このたび発表が行われたビジネスインクジェットプリンタ市場でも同様に、認知を広げることで市場を拡大していきたいとした。
また、同社のビジネスインクジェットプリンタ分野が目指す方向性も示した。現状のユーザー特性として、月間のプリント枚数が1,000枚~2,000枚程度の部分が主要ゾーンとなっている。今年度は月間プリント枚数が1,000枚程度のゾーン、具体的には小売店や飲食店、SOHO、オフィスのデスクサイドといった利用シーンを想定して地固めを行うという。来年以降は月間プリント枚数が5,000枚程度のプリントボリュームの高い領域についても視野に入れていく。
ミドル~ローエンド機を充実、新製品の投入動機
セイコーエプソン プリンター事業部 企画設計部 部長 和田高一氏は、このたびのビジネスインクジェットプリンタのラインナップ拡充のポイントについて言及。「耐久性を高めたA4ミドルレンジモデルの投入」、「ローエンドラインアップの強化」、そして「モノクロラインアップの強化」という3つの軸をもとに説明した。
前述の「月間プリント枚数が1,000枚程度のゾーン」のニーズを満たすため、ミドルレンジならびにローエンド機を投入し、市場拡大を図る。また、低ランニングコストという長所を持つモノクロインクジェットプリンタを投入することで、LP(レーザープリンタ)からの置き換えも視野に入れたモノクロ印刷の需要に応えていく
また、同社内の各部門で調査を行ったところ、プリンタ出力の枚数としては「1枚」という回答が約7割を占めた。今回の新機種では1枚目の出力スピードはLP以上の速さとなっており、同社の超浸透インクは他社製の物と比較して乾燥が速いため、最も利用頻度の高い「1枚だけ出力する」というシーンに十分に対応するものとなったという。
なお、3つの投入ポイント以外にも、クラウドを活用した出力ソリューションの総称「Epson Connect」について市場拡大に寄与する施策として紹介。プリンタ同士でのデータ送信・印刷を可能にする「メールdeリモート印刷」ならびに遠隔地のプリンタから出力できる「リモートプリントドライバー」(Windowsのみ対応)、そしてiPhoneやAndroid端末に専用アプリ経由でプリンタの遠隔操作を可能にする「Epson iPrint」などの機能により、新規市場の掘り起こしを図る。
オフィスプリンタの販売戦略
エプソン販売 OP MD部 部長 鈴村文徳氏から、今回の新製品発表に際しての販売戦略が明かされた。同社がビジネス領域で扱うインクジェット、ならびにレーザープリンタ双方でのシェア拡大を図るための新機種投入であり、今回のリリースによってインクジェット19機種、LP24機種の計43モデルとラインアップ拡大を図ったことを強調した。
また、ビジネス用プリンタのカタログとWebサイトを刷新。従来のような機能別の分け方ではなく、ビジネス用というカテゴリでインクジェットプリンタとLPをまとめて紹介し、ビジネスユースの顧客の利便性を向上させた。複合機の機能として搭載されている、A4FAXのシェアについても今後拡大していくと述べた。
最後に、販売目標として、ビジネス利用のインクジェットプリンタの12年市場見込みを約120万台とした上で、シェア目標50%、台数目標60万台を掲げた。また、A4FAX複合機に関しては、12年市場見込みを約9万台とした上で、シェア目標55%、台数目標5万台と設定した。