理化学研究所(理研)の系列会社である理研ビタミンは、クチナシの果実から抽出した「クロセチン」が、紫外線により誘発される肌炎症の「紅斑」を抑制することを、ヒトを対象とした試験において確認したと発表した。
研究の詳細な内容は、8月18日・19日に愛知県名古屋市で開催された日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表され、「第30回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会 ポスター賞」を受賞している。
理研ビタミンは、安全で美しい天然色素として、1963年よりクチナシ色素の製造・販売を行っている企業だ。また、クチナシ色素の機能性研究にも取り組んでおり、これまでにクロセチンが眼精疲労を緩和することや睡眠を改善することをヒト試験において確認している。
そこで今回は、肌の健康に影響を及ぼす紫外線に対するクロセチン摂取の効果の検証として、健常な男性15名を対象とした単回摂取による「プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験」を実施した。
試験は、被験者に試験食を単回摂取させた後、紫外線を上腕内側に照射することで肌炎症を惹起するというものだ。紫外線照射24時間後に、色差計を用いて皮膚色の変化を測定することで肌の炎症(紅斑強度)を評価したところ、クロセチンの摂取により、有意に紅斑形成が抑制されるのが判明した。
また、培養細胞を用いて作用機序についての検討も行われ、クロセチンは紫外線照射により誘導される「プロスタグランジン E2」の産生を抑制することが明らかとなったのである。
説明するまでもないが、紫外線は肌を傷つけ、炎症を引き起こす。慢性的な紫外線照射は、肌の老化を早め、シミやシワの原因となるだけでなく、時には皮膚がんの原因にもなってしまう。そのため、健康的な生活を送る上で紫外線から肌を保護することはとても重要となる。
今回の研究の結果より、クロセチンが紫外線による肌炎症を抑制し、肌を保護する可能性が示唆された形だ。クロセチンの摂取によって、紫外線から肌を保護する効果が期待されると、同社はコメントしている。