ペット愛好家に朗報だ、堂々と愛犬を同行して出勤できる日がくるかもしれない。ある米国の調査によると、従業員のストレス対策としてペット連れ込みの効果が認められ、一部企業では職場をペット解禁にする動きが出てきているようなのだ。

それを報じるOpenForumの記事「Why You Should Bring Your Dog to Work(職場にペットを連れて行く理由)」を紹介したい。

職場と健康管理の専門誌『International Journal of Workplace Health Management』に掲載された調査によると、愛犬を職場に連れて行くことはストレス対策と満足度に効果があることが定量的研究によりわかったという。それだけでなく、ペットは職場全体に漂う圧迫感を緩和し、ペットを連れてこない社員の満足度アップも図れるとのことだ。

「ペット同伴出勤」をすでに実現しているのが、ニューヨークのデジタルマーケティング会社「Rokkan」だ。Mayという名のジャーマンシェパードとともに出勤するCOOのCharles Bae氏は、「愛犬の職場への同行を許可することはポジティブでオープンな雰囲気を作り出すのに大きく貢献している」と述べ、自社のリテンション(人材確保)対策、業績、満足度の改善につながっているとしている。

職場でこんな犬の姿を見ることができたら、イライラしている時も和むかもしれない Photo by (c)Tomo.Yun

だからといって、すぐに「ペット解禁」とするのはNGだ。ペット同伴を許可するには、すべきことがいくつかある。まず、安全面と衛生面から見て、ペット向けではない施設は問題外だ。また、自社ビルが賃貸なら所有者に確認すべきだろう。賠償責任保険も確認しておきたい。ペットが何らかの損害を加えた場合にカバーされるかどうかを調べておこう。

こうした基本がチェックができたら、もう1歩ステップを進めよう。まずは、従業員全員でルールを作ること。従業員の中にはアレルギー体質の人がいるかもしれないし、動物をまったく受け付けない人がいるかもしれない。その場合、ペット同伴が一部のペット愛好家にはストレス対策となっても、他の社員にはストレス増となり、職場の雰囲気は改善どころか悪化ってしまう。

もし、従業員全体でコンセンサスがとれたら、具体的なルールを作ろう。連れてくる犬が噛み付いたり、吠えまくったりしないことは当然だが、ちゃんと躾けられた犬だってトイレや食事をするのだ。Bae氏の会社では、基本的なルールを決め、そのルールを3回破ったペットは持ち込みを禁止にするという原則を設けているという。

ルールが決まったら、少しずつペット解禁を始めよう。ペットを飼っている社員が一度に会社に連れてくるのは無理がある。少しずつペット同伴の許可を広げていきながら柔軟にルールを調節して、ストレスなくペットフレンドリーな職場にしていこう。

面倒くさい作業に見えるが、従業員の満足度改善、モチベーションアップは簡単なことではない。そうしたなか、従業員が飼っているペットの同伴を許可するだけで満足度が上がるのなら導入しない手はない、というのがOpenForumの意見だ。