大日本印刷(DNP)は8月7日、第6/第8世代の既存設備を利用して、最大500ppiの中小型LCD向け高精細カラーフィルタが効率的に生産できる技術「ファイン露光システム(Fine Exposure System:FES)」を開発したと発表した。
スマートフォンやタブレット端末などに搭載される中小型LCDは、需要の拡大が続くとともに、印刷物にも匹敵する解像度300ppi以上の高精細化が進んでいる。同社では、中小型LCDの需要の高まりに応えて、第4.5/第5世代の中小型向け設備だけでなく、テレビなど大型向け設備の第6/第8世代の生産ラインも活用して、中小型LCD向けカラーフィルタを生産している。また、今後の中小型LCD向けカラーフィルタの増産を見込んで、既存の装置を活用して効率的に高精細化に対応できる技術開発に取り組んできた。
その中で、材料や製造プロセスの開発・改善を進めるとともに、既存のステップ露光装置を改良し、新たに大きな投資をすることなく、既存の第6/第8世代の製造ラインで、最大500ppiの中小型LCD向け高精細カラーフィルタが生産できるFES技術を開発したという。
製造面では、従来の第4.5世代以上の生産ラインでは、大きいガラス基板をいくつかのエリアに分割し、複数回のステップに分けて、フォトマスクに描画されたRGB画素やブラックマトリックスのパターンを焼き付ける露光を行っている。この時、ステップごとに生じる露光パターンの微妙な歪みが、高精細化を実現する上での課題となっていた。今回、装置メーカーの協力を受け、露光装置に、ブラックマトリックスの線幅やパターン位置を、ステップごとに高精度に自動補正する機能を開発した。
プロセス技術では、露光時の面内の歪みを最小化するため、露光パターンの原版であるフォトマスクの設計時に、歪みを見越した補正パターンを追加する手法を開発した。材料では、新規のレジスト材料の開発と製造プロセス条件の最適化を行い、高精細化に求められる線幅4μm以下のブラックマトリックスを形成する技術を開発した。
なお、同社では、黒崎工場(北九州市)の第6世代ラインに同技術の導入を完了し、すでにパネルメーカーへの出荷を開始している。2012年末までには、その他の第6/第8世代の製造ラインにも導入して、中小型LCD向け高精細カラーフィルタの量産体制を強化していく方針。