計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、携帯電話端末用ワンボックステスタ「Agilent E6607B EXT」および「EXT」シリーズと併用することで複数の端末を同時測定できるマルチポートアダプタ「Agilent E6617A MPA」を発表した。

「EXT」シリーズと「MPA」シリーズを併用すると、呼接続なしの試験に最適化されており、複数の規格やバンドに対応するスマートフォンやタブレットの製造において、測定スループット向上や測定コスト削減に寄与する。

「E6607B EXT」は、ベクトルシグナルアナライザ、ベクトル信号発生器、高速シーケンスアナライザ、複数規格対応ハードウェアが統合されたワンボックステスタで、3.8GHz帯(LTE TDD Band 43で規定)に対応するなど、将来への対応も見据えた設計となっている他、最新のチップセットに搭載されている高速シーケンステストモードにも対応する。

「MPA」シリーズは小型でコスト効率が良く、同時に4台までのデュアルアンテナ端末の並列受信機試験、連続送信機試験、並列GPS試験に対応する。また、携帯電話用8ポート、GPS用4ポートを持った校正済みの拡張RFポートで、「EXT」シリーズにプラグ&プレイで接続が可能となっている。

将来の製造試験ニーズを見込んで、「EXT」シリーズは、携帯電話通信、ワイヤレス接続、デジタルオーディオ/ビデオ向けなど、各種測定アプリケーション(Xシリーズ測定アプリケーション)と連携できる。今回の「E6607B EXT」では、LTE TDD、TD-SCDMA、アナログ変調にも新たに対応した。これらの測定アプリケーションは、測定器の購入時でも、後からでも導入できる。

また、包括的な各種ソフトウェアにより、テスト開発を加速することが可能。「Agilent Signal Studio」を使用すれば、「EXT」シリーズで使用する呼接続なしのダウンリンク信号(制御信号およびテスト信号)を簡単に生成することができる。試作においては、「Agilent Sequence Studio」を使用することで、テストプランの作成やトラブルシュートを迅速に行える。量産試験の加速に向けては、同社のチップセットソフトウェアが、デバイスの制御、校正、検討用としてグラフィカルユーザインタフェースやプログラミングインタフェースなどを搭載する。

「EXT」シリーズは製造ラインにおいて、高機能のシーケンスアナライザを備え、呼接続のためのオーバーヘッドを削減したテストモードで、モデムチップセットと同期して動作する。また、1回のデータ取得で複数の測定をすることができる。これにより、テスト時間の短縮、および歩留り向上に寄与するという。なお、「E6607B EXT」は、形状および機能とも、従来製品の「E6607A EXT」と完全互換となっている。

なお、販売価格は「E6607B EXT」が450万円(税別)から、「E6617A MPA」が200万円(税別)。すでに販売を開始しており、出荷は10月を予定している。

携帯電話端末用ワンボックステスタ「Agilent E6607B EXT」