パナソニック デバイス社は7月31日、スマートフォンやデジタルスチルカメラ(DSC)など、小型電子機器のDC/DCコンバータ回路の小型化に寄与する小形・薄形形状で業界トップレベルの大電流を実現した2016サイズ積層パワーインダクタ「ELG」シリーズを発表した。

スマートフォンやDSCなどの電源部に用いられるDC/DCコンバータ回路では、小型、低電圧、大電流化が進んでおり、パワーインダクタにも同様の性能が求められている。積層パワーインダクタで小形、大電流化を実現するには、直流抵抗が低く、かつ必要なインダクタンス値を確保することが必要になる。一般に必要なインダクタンス値を確保するためには、内蔵するコイルパターンのターン数を増やす必要があるが、コイルパターンのターン数を増やすと、直流抵抗が高くなるという課題があった。今回、従来に比べ、さらなる高厚膜化を実現できるコイルパターン(導体)形成技術と、その高厚膜導体を内蔵する独自の積層プロセス技術を開発、コイルパターンの中芯面積の最大化を図ることで、コイルパターンのターン数を増やすことなく、低直流抵抗で必要なインダクタンス値の確保した。これにより、2016サイズの小形、薄形で業界トップレベルの大電流を実現した。

また、DC/DCコンバータ回路内のインダクタには、電流を印加してもインダクタンス値の変化が少ない優れた直流重畳特性が要求される。一般的に製品を小形化すると、直流重畳特性が悪くなるという課題があった。高い直流重畳特性を維持したまま小形・薄形を実現するためには、さらなる高厚膜化を実現できるコイルパターン(導体)形成技術と、その高厚膜導体を内蔵する積層プロセス技術に加え、磁性体層の薄層化が必要となる。

一方で、磁性体層の薄層化を進めると、コイル導体間の絶縁性が保てなくなり、必要とするコイルパターン数が確保できなくなり、十分なインダクタンス値が得られないという課題があった。これに対しては、磁性体層を薄層化した場合においても十分な絶縁性を保つ新材料の採用により、小形・薄形で優れた直流重畳特性を実現、スマートフォン、DSCなどの各種機器の小型化の要求にも対応できるという。

なお、サイズは2.0mm×1.6mm、高さは1.0mm(max)。サンプル価格は8円。2012年8月より月産500万個で量産を開始する予定。

2016サイズ積層パワーインダクタ

積層パワーインダクタ「ELG」シリーズの外形図と断面図

積層パワーインダクタ「ELG」シリーズの基本仕様