国立天文台は、できるだけ多くの人に夜空を眺める機会を持ってもらうことを目的として、夏に活動する「ペルセウス座流星群」を観察対象に、今年で6年目となる「夏の夜、流れ星を数えよう」キャンペーンを実施することを発表した。

ペルセウス座流星群の活動が活発になると思われる8月10日の夜から14日の朝までの4夜の間に15分間以上星空を眺め、結果を報告ページから報告するというものだ。しかも、その報告をリアルタイムで集計していくことになっている。

報告する項目は、「流星を見た時刻」、「流星を見ていた時間」、「見た流星の数」、「流星群の流星を区別したかどうか」、「都道府県」などの、簡単な内容の項目がほとんど。携帯電話からでも参加できるので、気軽に参加してほしいとしている。なお、「曇ってしまった」、「流星が1つも見えなかった」なども立派な観察結果となるので、ぜひ報告してほしい、とのことだ。

ちなみに今年は、真夜中頃に月が昇ってくるために観測条件はベストとはいえない。10日の夜は月齢21.9で下弦の月(半月)で、14日の夜は月齢25.9と新月に向かって細くなっていくが、昇ってしまったあとは暗い流星は見づらくなってしまうのが難点となっている。

なお、ペルセウス座流星群の活動期は、実際には8月7日頃から15日頃にかけてだ。特に、8月12日の21時過ぎから明け方までの間が、多くの流星を観察できる極大日と予想されている(ただし、予想は必ずしも確実なものではない)。

流星群の観測をしたことがある人ならわかると思うが、流星群は見えやすい方向などはない(同じ流星群の場合、天空のどこか1点にそこから流れ出す「放射点」というのはある)。逆に、非常に明るいので暗い流星がなおさら見づらくなってしまうので、月を正面に見ながらの観察は避けた方がいい。もちろん、街頭などもない方が望ましい。

観測の姿勢として楽なのは、思い切ってレジャーシートなどを敷いて地面に寝っ転がってしまうのが一番。短時間ならまだしも、しばらく見ようとしたら、立って見上げると首が結構疲れるのだ。しかも、開けた土地であれば、立って観測するより寝っ転がった方が視野が広くなるので、流星をそれだけ多く観測できる。なお、望遠鏡や双眼鏡は視野が狭くなるので、高速の流星を追うのは難しいので、肉眼で観測するのがベスト。

あとは、流星を見た瞬間に時間を記録する時の注意点だが、もちろん観測したらすぐに時計や携帯などで確認してノートなどに方位と共に記せばいい。さらに可能なら、どの方位からどの方位へ流れた、という点も記しておけば、ペルセウス座流星群なのか、異なる流星なのかがおおよそ推測できる。流星の軌跡をそのまま逆にたどると、同じ流星群なら夜空の1点に集約され、そこが「方射点」というわけだ。当然だが、ペルセウス座流星群は方射点がペルセウス座(のγ星の近く)にあるから、その名がつけられたのである。

もし1人だけど記録する時も少しでも夜空から目を離したくない、ということであれば、ビデオカメラを日時表示させて録画状態にしておき、見えた瞬間に方位などを告げて、あとで確認するという手もある。

また観測時間だが、都市部などでは光害の影響で明るい流星じゃないと見えない。よって、1時間とはいわないが、15分ぐらいは観察したい(キャンペーンでも最低15分を呼びかけている)。

ちなみに、ペルセウス座流星群は極大日なら条件のよい年だと(暗く開けた場所・方射点が高い・月が見えないなど)、1時間に30個以上は見られるとされているので、平均2分に1個となるが、都会ではそうはいかない。まして、高い建物に囲まれていて見える空が狭い場合はなおさらなので、休みつつも30分ぐらいがんばってみてもらいたい。

ただし、そうなると見上げていて首が痛くなってくると思われるので、思い切って近くの公園とかに行って寝っ転がってしまうのがオススメである。ただし、夜の公園は物騒なことも多いので、できるだけ複数人で行き、小中学生などは大人に引率してもらおう。

とはいっても、初めて観測するという人は、「あ、流れた!」で感激してしまって頭が真っ白になってしまうことも多いから、秒単位まで正確に記録しようなどと気合いを入れ過ぎる必要はない。

この「夏の夜、流れ星を数えよう」キャンペーンも、流星(&夜空)を見て楽しむのが本来の目的であって、何が何でも科学的な貢献をしてくれ、といっているものではないので、気軽に流星を楽しんでほしい。余裕があったら記録すればいい、ぐらいの気持ちでいよう。

このほか、もっと流星群や流星観測について詳しいことを知りたい人は、「夏の夜、流れ星を数えよう」キャンペーンのページをぜひ読んでもらいたい。これを読破すれば、もうペルセウス座流星群通になれることは間違いない。

それから、14日の早朝には、月が金星を隠す「金星食」という天文現象を、石垣島などごく一部の地域を除く日本全国で観測することができる。金星食は頻繁に起こっているのだが、今回のような「比較的条件がよい」とされる金星食はそうなく、前回は1989年12月2日だったので23年ぶりとなり、次の同じ程度の条件の金星食が起きるのは2063年5月31日なので、ここはがんばって見ておきたい。特に、関東地方などは6月の金星日面通過が雨天で見られなかったので、ここはリベンジ(?)してみてはいかがだろうか。