Open Forumによると、米国の約2,300の空港を利用する年間旅客者は約6億人。長蛇の列になる原因は、早朝など一定時間に出張旅客が集中すること、子連れ、荷物が多い、旅慣れない旅客などにより列がスムーズに流れないことなどが考えられる。当然、アメリカ運輸保安局(TSA)もこの問題を認識しており、対策を講じているようだ。

Open Forumが「The Secret to Airport Security Lines(知られていない空港のセキュリティチェック)」という記事で、行列解消策のいくつかをまとめているので、以下に紹介しよう。

TSA PreCheck

TSAの簡易チェックプログラムで、国境警備局(CBP)、米国系航空会社と共に展開されているのが「TSA PreCheck」だ。ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港など一部で導入されている。提携する航空会社の一部マイレージ顧客、CBPの入国プロセス簡易プログラムのTrusted Traveler(Global Entry、SENTRI、NEXUS)などに加入している米国市民が対象となる。事前のスクリーニングにより、靴を脱ぐ、ベルトを外すなどの面倒なチェックを簡略できる。

TSA PreCheckのWebページ

Black Diamond

TSAが導入しているもう1つの仕組みが、旅客を「旅慣れた人」「家族連れやお年寄り」「旅慣れていない人」と経験に応じて3つのレーンに分類するものだ。旅慣れた人がBlack Diamond(黒)となり、家族連れは緑、旅慣れていない人は青と色分けされている。

自己申請ベースなので、自分が旅慣れていると思えばBlack Diamondを選ぶ。航空会社によっては、頻繁に旅行しているマイレージの優良旅客にBlack Diamondを薦めることもあるそうだ。この制度は現在、51の空港で導入されているとのこと。

米国ソルトレイクシティ空港でのBlack Diamondレーンの表示

CLEAR

「CLEAR」も米国市民向けのプログラムで、指紋と虹彩情報によりIDチェックプロセスを自動化する。民間企業が展開しているもので、年間179ドルで利用できる(追加で50ドル払えば配偶者を追加できる)。利用できる空港はダラス、サンフランシスコなど4つだという。

そろそろ夏休みで米国旅行という人もいるだろう。残念ながら、今回紹介した対策は米国市民向けのものだが、米国市民ではないわれわれとしては、とりあえず、「着脱が面倒な靴をはかない」「液体物を最初から分けておく」「手荷物はなるべくコンパクトに」といった策はとっておきたいものだ。