ロームは7月26日、業界最高クラスの電力変換性能(FOM=21)を実現した耐圧40V/100AパワーMOSFETを量産すると発表した。
近年、各種機器のDC/DC電源回路においては、電力変換効率の改善による省電力化が進められている。中でも、電力変換に大きな影響を与えるパワーMOSFETは、さらなる低損失化、高効率化が求められている。同社では、これまで民生機器向けにミドルパワークラスの高効率MOSFETを数多く提供してきたが、24V入力の大型でハイパワーな産業機器や車載分野の拡大に伴い、耐圧40Vクラスで大電流に対応した高効率パワーMOSFETへの要求が高まっていた。
同シリーズでは、用途別に6種類のパッケージを採用した全13製品をラインアップ。9Aから、大電流を必要とするハイパワーな機器にも対応できる100Aという幅広い電流値に対応している。また、独自の新構造を採用したことにより、従来の一般的な製品に比べて電力変換性能を約30%低減し、大電流を必要とするハイパワーな機器のDC/DC電源回路における低消費電力化に大きく寄与するという。
新シリーズは、独自の低容量構造やトレンチ型フィールドプレート構造を採用したことで、トレードオフの関係である低オン抵抗と低ゲート容量の両立に成功した。これにより、DC/DCコンバータ用パワーMOSFETの性能指数として用いられる「FOM」をローム従来品に比べ低減し、業界最高クラスの高効率性能を達成した。さらに、高周波動作にも対応が可能で、周辺部品の小型化も図れる。
また、パッケージも用途別に6種類取り揃え、産業機器や車載分野で広く使われるハイパワー・パッケージのTO-220やLPTSでは100Aの大電流に対応できる。同製品は、同期整流回路での性能を確保するため、UIS(L負荷アバランシェ耐量)について100%試験を実施しており、品質面でも高い信頼性を有する。
なお、生産拠点は前工程がローム本社、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand)、ROHM Korea。サンプル価格は30~100円。4月からサンプル出荷を開始し、7月から月産100万個体制で量産を予定している。