弥生は、同社が今後提供するクラウドサービス「弥生オンライン」シリーズの第一弾として、店舗経営者向けに特化した、店舗の収支を日々把握できる新クラウドサービス「やよいの店舗経営 オンライン」を、9月3日に開始すると発表した。

「やよいの店舗経営 オンライン」飲食業月次レポート

価格は、初期費用なしで月額利用料が1,470円。サービスは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Windows Azure」上で動作する。なお、利用開始日より最大2カ月間は無料で、利用料には、弥生による操作サポート費用も含まれる。

「やよいの店舗経営 オンライン」は、これまで売り上げや経費の管理を会計事務所に丸投げ、あるいはExcelベースで管理してきたような、ITをあまり利用してこなかった店舗経営者が対象。

会計事務所では、会計ソフトを利用し、経営者自身で日々の売り上げや経費を管理する「自計化」を進めているが、ソフトの操作には仕訳といった会計知識が必要なことから、半数以上のユーザーは会計ソフトを利用していない。

同社の調査によれば、丸投げ、あるいはExcelで管理など、記帳代行を依頼しているユーザー数は法人で48%、個人事業主では58%にのぼるという。

「やよいの店舗経営 オンライン」のターゲット

「やよいの店舗経営 オンライン」は、これらのユーザーをターゲットにし、売上・仕入・経費の取引、およびレジ現金残高を、仕訳なしで売上日報形式で入力するクラウドサービス。主に飲食、理容室、小売、その他個人向けサービスがターゲットだ。入力されたデータは、その顧客が契約する会計事務所に送付され、会計事務所では、それらのデータを利用し、「弥生会計AE」を使って決算、申告処理を行う。

飲食業日報画面

理美容業日報画面

したがって、「やよいの店舗経営 オンライン」は、弥生のパートナー会計事務所「PAP会員」と契約する顧客が対象であり、サービスの申し込みもPAP経由で行う。同社では、今後1年間で3,000ユーザーの利用を目指す。

このサービスを利用することにより、会計事務所は新たにデータを入力する作業が軽減され、顧客にはグラフ機能などにより、日々の売り上げ推移など店舗経営に役立つ情報をいつでも視覚的に確認できるというメリットが生まれる。同社では、自計化でもなく、丸投げでもない第3の選択肢「半自計化」だと説明する。

弥生が唱える第3の選択肢「半自計化」

「やよいの店舗経営 オンライン」のメリット

弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏。同社では、弥生会計を販売開始して以来25周年を向かえるのを節目に新ロゴも発表し、2012年12月から採用する

弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏は、丸投げなどの記帳代行のデメリットについて、「日々の記録が店舗管理に活用されておらず、会計事務所から報告書が来る頃には店舗の経営が手遅れになる」と、クラウド活用によるスピード感の重要性を強調する。

同社では、「店舗経営者にとって、収支状況を正確かつタイムリーに把握することは、事業を継続させる上で欠かすことができませんが、日々の店舗運営に関わる業務で多忙なため、毎日の経理業務にあまり時間を割けないのが実情です。こうした現状から、弥生は経理の知識を必要とせず、日々の売上や仕入れ、経費といった売上日報の情報を入力するだけで収支状況を把握することができる『やよいの店舗経営 オンライン』の開発に至りました」と説明する。

なお、「弥生オンライン」は、同社が今後提供するクラウドサービスの総称で、「やよいの店舗経営 オンライン」は、その第一弾となる。

岡本氏は、同社のクラウド戦略について、弥生のクラウドサービスのターゲットには、すでに業務ソフトを利用している層と、まだ利用していない層がおり、業務ソフトを利用している顧客は、これまでと同レベルの機能や使い勝手を望み、まだ利用していない顧客はよりシンプルさを求めるため、今後は2通りのアプローチでクラウドを推進すると説明する。

「やよいの店舗経営 オンライン」は、後者のまだ業務ソフトを利用していない潜在市場向けのサービスであり、今後は既存顧客向けのクラウドサービスも提供する予定だという。

弥生1xシリーズのクラウドDB対応サービスも今後提供する予定で、デスクトップ版の弥生シリーズと相互連携するという

また、岡本氏は、「これまで弥生は『業務ソフトベンダー』だったが、これからは事業そのものをサポートし、業務の成立、効率化、成功をサポートする『事業コンシェルジュ』を目指す。今回の新製品は、非常に大きなマイルストーンになる」と述べ、今後は税理士などの専門家相談のほか、事業者コミュニティやノウハウを掲載する業務ポータルを構築するほか、「みんなの人事総務部」などの業務支援サービスも提供するという。

『業務ソフトベンダー』から『事業コンシェルジュ』へ

なお、同社は「やよいの店舗経営 オンライン」の発売を記念し、「店舗経営者応援キャンペーン」を開催。キャンペーンでは、7月24日から9月30日までの期間中、開業直後の店舗経営者や開業予定者から最大25名のモニターを募集し、「やよいの店舗経営 オンライン」と経営アドバイスや決算・申告のサポートを行う税理士顧問サービスを、1年間弥生PAP会員と共同で提供する。費用は最長1年間、弥生が負担する。

応募資格は2011年10月以降に開業、あるいは2012年10月末日までに開業予定の人で、応募は同社のキャンペーンサイトから行う。