これまで2回にわたって、スマートフォン向けIP電話ソリューション「U3 Voice(ユーキューブ ボイス)」が提供されるに至った背景とサービスの概要、そしてこのサービスによって企業の従業員、経営者がどのような恩恵を受けるかについて紹介してきた。U3 Voiceによって、ビジネスのコミュニケーションをより円滑なものにしたり、大幅なコスト削減ができたりすることをご理解いただき、サービス導入を検討し始めた企業も多いことだろう。

しかし、U3 Voiceがもたらすメリットを享受できるのは、導入した企業の従業員や経営者ばかりではない。このサービスをOEM提供する通信事業者やサービスの販売代理店といった、いわゆるパートナー企業にとっても非常に魅力のあるものになっているのだ。

ネクストジェン 事業戦略室 副室長 二村廉太氏

最後となる今回は、U3 Voiceを、自社のサービスメニューならびに商材として採用することでパートナー企業が得られるメリットについて、ネクストジェン 事業戦略室 副室長 二村廉太氏の話を基に解説を試みるとしよう。

企業のニーズに合わせた3つのプラン

パートナー企業のメリットをご理解いただくために、まずはもう一度、スマートフォン向けのIP電話ソリューションであるU3 Voiceに用意されている3つのサービス提供プランについて簡単に復習しておきたい。

最も導入しやすい「ベーシックタイプ」は、従業員の手持ちのスマートフォンに専用アプリケーションをインストールするだけでIP通話が実現できるサービスだ。IP通話には専用の「050」番台の番号も利用できるため、1台のスマートフォンで社用と私用の通話を使い分けることができるようになる。

ベーシックタイプの概要

次の「オフィスタイプ」は、スマートフォンで使用するIP電話のネットワークと、社内の固定電話として利用している既存のビジネスフォンのネットワークとを連携できるサービス。既存のビジネスフォンの設定を変更するか、アダプタを追加するだけで導入することができるため、なるべくコストをかけずに既存の設備をそのまま活かしつつ、ビジネスへのスマートフォン活用に乗り出したい企業向けのサービスとなっている。

オフィスタイプの概要

最後の「クラウドPBXタイプ」は、PBXの機能をクラウドで提供するサービス。社内の電話網がすべてIP化されるため、次世代のコンピューターテレフォニーへの対応準備も万全となる。コスト面でも、自社でPBXを用意する必要がないことから、新規オフィス開設時などには大幅なコスト低減を見込むことができる。

クラウドPBXタイプの概要

販売会社は、既存顧客に付加価値の提供を

以上のような3つのプランからなるU3 Voiceのサービスは、多くの販売会社, とりわけビジネスフォンの販売代理店にとって販売力強化につながるものとなる。

ビジネスフォンの市場は、ここ数年横ばいを続けている。他の企業向け音声電話サービスが低迷する中にあって市場規模を維持できているのは、「ビジネスフォンの高機能化によって小規模のPBX市場から顧客を獲得しているから」(二村氏)だという。

そうした背景から、ビジネスフォンの販売会社は現在、売上拡大に向けて新たな手を打たなければならない状況にある。そこで注目されているのがスマートフォンだ。「ビジネスフォンのユーザー企業からは、スマートフォンの利用を検討したいという要望が少なからず出ている」(二村氏)と言い、ビジネスフォンの販売会社では、既存の資産やスキルを活かしつつ、スマートフォンへの対応を進められる方法がないか模索し始めている。

そうしたニーズにマッチするのがU3 Voiceになる。

例えば、U3 Voiceのオフィスタイプを考えてみよう。このプランであれば、顧客は既存のビジネスフォンをそのまま使いつつ、スマートフォンのIP電話網と連携できるようになるため、引き続きビジネスフォンの必要性を強調できる。加えて、IP電話網との接続に必要となるアダプタの売上も期待できるうえ、スマートフォン対応によって顧客を取り逃がすリスクを低減することが可能だ。

さらにこれがクラウドPBXタイプになると、固定電話主装置を設置できない顧客や、IPセントレックス対応を目指す新たな顧客までも取り込むこととなり、さらなる売上拡大につなげることができる。

また、導入が簡単なベーシックタイプでまず顧客を取り込み、IP電話の良さを体験してもらったうえで、オフィスタイプやクラウドPBXタイプへと移行することもできるのがU3 Voiceの特長でもある。

「販売会社にとっても、顧客に無理なく安心して勧められるプランを用意した。ぜひとも顧客からの多様なニーズに応えられるよう活用していただきたい」(二村氏)

通信事業者には、安心して提供できる新サービスとして

続いて、解説の視点をビジネスフォンの販売会社から通信事業者に移してU3 Voiceを見ていきたい。

現在、携帯電話会社は音声通話料金による売上を伸ばすことが難しい状況にある。それどころか、コミュニケーションの多様化や過当競争によって音声ARPU(Agerage Revenue Per User : 1顧客あたりの売上)は減少傾向だ。そのため多くの携帯電話会社では、収益の柱を音声通話からスマートフォンなどによるパケット通信へとシフトしている。

固定電話を中心とする通信事業者もまた、既存の音声通話による収益向上が見込みづらいといった状況は同じである。だからこそ、より付加価値の高いサービスを提供することで、収益体質を強化することが喫緊の課題となっているのだ。

そうした中、IP通話の利用はコンシューマーを中心にますます広がりを見せている。スマートフォンでもIP電話アプリケーションをインストールして無料もしくは格安での通話を行っているエンドユーザーが急増しており、若い世代を中心に馴染みの深い技術となっている。このような流れが法人にも本格的に及ぶのは時間の問題だろう。

以上のような背景からも、仮想移動体通信事業者(MVNO)を含めたあらゆる通信事業者にとって、U3 Voiceのようなサービスを自社サービスメニューに取り込んでOEMとして提供することは、とても魅力のあることだというのがおわかりいただけるのではなかろうか。とりわけ新規の法人顧客獲得を目指す事業者にとっては、最初の提案に最適なサービスだと言える。

「通信事業者は、スマートフォンが爆発的に普及しているこのビジネスチャンスを逃したくないという思いがとても強いだろう。新たに法人向けの契約を獲得するうえでIP電話サービスは非常に有力な選択肢だが、そのための設備を一から用意するとなると、コストと時間もかかるし、かなりのノウハウも必要となる。そこで、当社のU3 VoiceをOEMで導入すれば、参入ハードルが非常に低くなるとともに、安心してサービスをご提供いただくことができると思う」(二村氏)

二村氏が、「通信事業者に安心して利用してもらえる」と強調するのには理由がある。それは、第1回の本稿で紹介したように、ネクストジェンが通信事業者へのシステム導入・提供において豊富な実績とノウハウを有するからである。

同社がこれまでシステムを手がけたのは、国内の主要な通信事業者のほぼすべてに及ぶ。そして、それらの中には大規模かつ可用性の高いシステムも数多く存在する。

「ネクストジェンがこれまで通信事業者に提供してきたシステムは、ほとんどが24時間365日の稼働が必須というミッションクリティカルなもの。そのため、導入後の保守に関しても、夜間も含めていつでも対応できる体制を整えている。こうした高信頼性を実現するために培ったノウハウがU3 Voiceのサービス提供にも活かされている。なので、通信事業者の皆さんは安心してご利用いただけるはず」(二村氏)

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以上、本企画では3回にわたりU3 Voiceを紹介してきた。エンドユーザー、経営者、そしてパートナー企業のそれぞれの視点からメリットを解説したが、いかがだっただろうか。

二村氏によるとU3 Voiceは、「利用する側も、提供・販売する側も、すべての企業がWin-Winの関係を築けることを目指したサービス」になるという。実際、スマートフォンユーザーのさまざまな不満を解消できるだけでなく、コスト削減も期待でき、導入企業としては利点が多い。パートナー企業においても、サービスメニューを増やすことにつながるうえ、ビジネスフォンなどの既存の商材を活かすことも可能だ。

興味をお持ちの方は、ぜひともネクストジェンに問い合わせてみてほしい。

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