富士キメラ総研は7月20日、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)と関連ビジネスの国内市場を調査し、その結果を報告書「2012 スマートフォンビジネス総調査」にまとめ発表した。
調査では、スマートデバイス及びその競合機器を含めた端末市場(9品目)、アプリケーションストアや映像配信サービスなどコンシューマ向け市場(10品目)、組み込みミドルウェア、アプリケーション受託開発など法人向け市場(17品目)、携帯電話サービス、WiMAXサービスなどネットワークサービス市場(4品目)について、それぞれ現状を分析し今後を予測。さらに、スマートデバイスの普及がコンシューマと法人に及ぼす影響などについてもまとめている。
それによると、移動体通信キャリア4社の携帯電話サービス契約数(個人契約及び法人契約)は、2011年度末時点で日本の総人口と同規模の1億2,821万件となり、契約数全体のうち、およそ9割を個人契約が占めている。その大半を占める音声通話端末ではフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進んでおり、音声通話端末全体としてはほぼ飽和しているという。
契約数全体の残り1割を占める法人契約では、タブレット端末の業務活用など新規需要の創出や、M2M(Machine to Machine)アプリケーション拡大による通信モジュール系の需要増加が期待され、2016年度末には、2011年度末比22.8%増の1億5,745万件と予測。
2011年度末時点では、フィーチャーフォン契約数が8,651万件に対して、スマートフォン契約数は2,683万件となっている。通信キャリアはARPU(Average Revenue Per User:ユーザー1人当たりの平均売上高)増加に繋がるスマートフォンの販売を促進しており、2013年度末にはスマートフォン契約数(6,000万件)がフィーチャーフォン契約数(5,690万件)を上回ると予測。さらに、2016年度末のスマートフォン契約数は9,500万件となり、音声通話端末全体の79.5%に達すると予測されるという。
スマートフォンへの移行は個人契約が先行する見通しで、法人分野でもスマートフォンの業務活用が注目されているが、通話やメール機能だけで十分として、コストを重視しフィーチャーフォンの運用で足りると考えるユーザーも多く、端末管理やセキュリティ対策など解決すべき課題も多いため、本格的に大量導入する動きはまだ少なく、コンシューマ分野より遅れて移行していくと考えられるとしている。
データカード系は、これまで主流だったPC用データ通信カードから、ノートPCやタブレット端末、携帯用ゲーム機など多様なWi-Fi(無線LAN)対応機器を繋ぐことが出来るWi-Fiモバイルルータへの需要シフトが進んでいるという。
一方、Apple「iPad」を始め携帯電話回線を内蔵したタブレット端末は、コンシューマ、法人とも月々の通信コスト負担への抵抗感が根強く、タブレット端末の需要はWi-Fiモデル(本項対象外)が中心となっている。しかし、法人分野では外勤時のセキュリティ対策や管理面から一定の需要があるとみられる。ノートPCの代替用途や新規用途の開拓などタブレット端末への関心は高く、運用が確立してくる2012年度から導入が本格化していくと考えられる。2016年度末時点のタブレット端末契約数は、2011年度末比4.8倍の480万件が予測されるという。