SAS Institute Japan 代表取締役社長 吉田仁志氏

SAS Institute Japanはこのほど、米SAS InstituteのCEOであるジム・グッドナイト氏をはじめ、経営幹部が来日するのに伴い、顧客向けイベントを開催した。ここでは、同イベントで行われたグッドナイト氏を中心とした講演の様子をお届けする。

分析ソリューションの専業ベンダーとしてビジネスを展開してきた同社が、ビッグデータの分析"ビッグ・アナリティクス"に適した製品として、満を持して提供を開始した製品が「SAS High-Performance Analytics」だ。同製品は、データベース・パートナー(TeradataまたはEMC Greenplum)のアプライアンスに対応するソフトウェアであり、インメモリ技術を用いて分析を行う。同イベントでは、同製品の導入効果などの紹介が行われた。

SAS Institute Japan 代表取締役社長の吉田仁志氏が初めに登場し、「ビッグデータ活用のポイントは、大量のデータを意味のある情報に変えること。データは情報に変えなければならない。また、その情報はタイムリーに分析する必要がある。こうしたデータを情報に変え、タイムリーに分析することを可能にする"ビッグ・アナリティクス"がなくては、ビッグデータは成り立たない」と、SASこそが企業がビッグデータを有効活用することをサポートできる存在であることをアピールした。

SAS Institute 上席副社長 兼 最高マーケティング責任者 ジム・デイビス氏

続いて、SAS Institute 上席副社長 兼 最高マーケティング責任者 ジム・デイビス氏は、「情報管理」の課題として、「データに対する要求の高まり」「データ利用方法の複雑化」「データ利用者の拡大」「データ処理のレスポンス速度に対する要求の高まり」を挙げた。

現在は、データの量・速度・種類が企業・組織が所有するストレージやコンピュータの能力を超えてしまっているが、「企業が迅速な意思決定を行ううえで、すべてのデータを処理できる速度が重要だ」とした。

同氏は、「High-Performance Analytics」を構成する「SAS IN-MEMORY ANALYTICS」を取り上げ、「IN-MEMORY ANALYTICSは競合ベンダーのインメモリ・データベースと異なり、インメモリ技術で分析を行う。オラクルやSAPのインメモリ製品はBIの領域で使う製品にすぎない」と語った。

そして、同氏は「High-Performance Analytics」によって、ビッグデータを高速で処理すること、視覚的に探索することが可能になり、企業はビッグデータの最大限に活用することを実現できるとした。

SAS Institute 最高経営責任者 ジム・グッドナイト氏

SAS Institute 最高経営責任者のジム・グッドナイト氏は、同社の超高速インメモリ分析エンジン「SAS LASR Analytic Server」の導入事例を挙げつつ、その並列処理技術について説明した。

同氏によると、シンガポールの金融機関より18時間かかっているリスク分析の処理を短縮してほしいという要望を受け、並列処理が可能なソリューションを開発したところ、15分程度に短縮することができたという。

それを実現できた要因の1つとして、同氏はインテルのCPU「Sandy Bridge」を手にして紹介した。さらに、安価になったメモリも並列処理を支える技術であるとした。「個人的には、48台のブレードが好きだ。今年中に、30TBまでのメモリに対応できるようにする。そうすれば、企業が抱えるデータをすべてメモリで処理することができる」

最後に登壇したSAS Institute ヨーロッパ・中東・アフリカ地域・アジア太平洋地域担当 上級副社長のミカエル・ハグストローム氏は、「アナリティクスはイノベーションを加速し、企業に成功をもたらす原動力となるが、課題として、リアルタイム性が求められている。これを実現するテクノロジーはすでに存在しており、スキルが必要」と、企業がビッグデータを活用する際のポイントをあらためて強調し、講演を締めくくった。