Silicon Laboratories(Silicon Labs)は、ハイエンド機種およびプロオーディオ機器市場向けにAM/FMレシーバ「Si477x」ファミリを発表した。
オーディオ性能を最適化するために、マニュアルで調整された誘導子と複数の能動部品から個別のAM/FMレシーバが制作される。この複雑で手作りの受信機設計は、設定や構成を制約するだけでなく、高コスト、高価な製造経費、長いテスト時間を要していた。また、強信号環境におけるオーバーヘッドに悩まされるだけでなく、特に弱信号におけるオーディオ品質の劣化の原因となっていた。
「Si477x」ファミリでは、グローバル・マルチ・バンドAM/FMレシーバの「Si4770」と、HDラジオチューナー機能をサポートするAM/FMレシーバ「Si4777」の2品種をラインナップ。ハイエンド・コンスーマとプロ向けアプリケーションで構成部品点数(BOM)を低減するだけでなく、設計の自由度と性能の向上を実現している。「Si477x」ファミリは、同社の特許技術であるデジタル低中間周波数(low-IF)アーキテクチャを活用して、要求の厳しい環境下で優れた音質を提供する。
「Si477x」ファミリは、先進のDSPアルゴリズムを通して、卓越したRF感度、隣接および代替チャネルの選択性、線形性、音声再現の忠実度(audio fidelity)を有する。例えば、-3.5dBμVの感度で100マイル(160km)離れたプックアップステーションでは、0.7μVの信号を受信することができる。「Si477x」ファミリのクラス最高の選択性(希望する局から±100kHz周波数オフセットで65dBと±200kHz周波数オフセットで72dB)は、込み合った周波数環境において電波の強い局の中に埋もれている弱い局に合わせることができる。また、高線形性RFフロントエンドと、洗練されたRFおよびIF自動ゲイン制御(AGC)、最先端の動的帯域制御アルゴリズムの組み合わせを特徴とし、強信号環境において感度と選択性を最適化し、いかなる時でも、いかなる条件下でも優れた受信性能を実現している。
さらに、都会でよく存在する複雑なマルチパス干渉条件下で、マルチパスによるフェーディングを解消し最適な性能を発揮するように設計された、オンチップのセミプロ向けFMチャネルイコライザーを特徴としている。このイコライザーの特許技術である適合アルゴリズムは、ラジオ局の信号がビルやその他の大きな物体に反射したその局の同じ信号のタイミングがずれたバージョンとともに、受信機に届く時に発生するマルチパスフェーディングを補正する。イコライザーは、オーディオに適用される音声障害低減法をほとんど使用せずに音声の歪みを大幅に低減する。
「Si4770/Si4777」はピン構成に互換性があり、複数のハイエンドオーディオ機器プラットフォームにわたってシステム設計作業を簡略化できる。「Si4770/Si4777」のデバイスの実装面積は同じで、1枚のボードを設計するだけで、HDラジオと非HDラジオソリューション間が異なるバックエンドを持つ場合でも、いずれかを使用することができる。
なお、パッケージは6mm角の40ピンQFN。参考価格は1万個購入時で「Si4770」が5.26ドル、HDラジオをサポートする「Si4777」は6.31ドル。評価ボードの「Si4770-A-EVB」は500ドル、「Si4770Module-A-EVB」が150ドル。現在、サンプルおよび量産出荷中。