Analog Devices(ADI)は、125MSPS/14ビットのデュアルA/Dコンバータ(ADC)「AD9645」を発表した。

同製品は、25MSPSで動作時の消費電力をチャネル当たり122mWに抑えているのが最大の特徴。競合製品と比べて、低消費電力を2チャネルで22%削減できる。さらに、高速なA/D変換処理と広いダイナミック・レンジを実現。しかも、コスト効率に優れており、機能面での柔軟性を備える。これらにより、CDMA2000/W-CDMA/LTE/TD-SCDMA/マルチキャリアGSMなど、最新の3G/4Gマルチスタンダード携帯インフラ機器で求められる性能とサイズの要件を満している。また、計測用途や医療用途などで使われる電池駆動型の携帯用機器にも適しているという。

「AD9645」は、消費電力が122mW/チャネルで125MSPS動作/70MHzの信号入力に対し、91dBcのSFDR(スプリアス・フリー・ダイナミック・レンジ)性能を発揮する。また、アンダーサンプリング手法を用いる場合に、最大200MHzのIF(中間周波数)に対応できるように設計されており、マルチモード・デジタル受信機での使用に最適となっている。

12ビットのデュアルADC「AD9635」も発表した。サンプル・レートは125MSPSで、「AD9645」とピン互換性がある。このため、システムに対する要求に応じ、20MSPS~125MSPSの範囲において、12ビットの「AD9635」と14ビットの「AD9645」との間で容易に移行が図れる。なお、「AD9645/AD9635」ともに、サンプル・レートが80MSPSのバージョンも用意している。

「AD9645」は、エラー訂正用のロジック回路を備えるマルチステージの差動パイプライン・アーキテクチャを採用している。動作温度範囲は工業用対応の-40℃~+85℃。デジタル出力のインタフェースは、省スペース化に有効な1.8V/シリアルのLVDSで、チャンネル当たり2レーンを備えている。

なお、パッケージは「AD9645/AD9635」ともに、RoHSに準拠した5mm角の32ピンLFCSP。価格は1000受注時で125MSPS品が51.99ドル、80MSPS品が27.99ドル。「AD9635」は1000受注時で125MSPS品が29.49ドル、80MSPS品が18.69ドル。すでに量産出荷を開始している。

125MSPS/14ビットのデュアルADC「AD9645」