ソフトバンクテレコムは7月10日、野村證券にiPad(Wi-Fi + Cellularモデル)を8,000台納入すると発表した。これについて、野村證券 執行役会長 多田斎氏は、7月11日開催されたイベント「Softbank World 2012」の中で「全営業担当者にiPadを導入する背景と意義」と題して講演を行い、その理由を説明した。
野村證券では、"コンサルティング営業の強化"を経営方針とし、顧客へのサービスの品質の向上に取り組んでおり、その一環として、昨年試験的にiPadを導入して営業活動への効果が確認されため、今回、全国のリテール事業の営業担当者約8,000人を対象に、本格的にiPadの導入を決定したという。
これについて多田氏は、「社会のフレームワークはドラスティックに変化しており、お客様がすべてを決定する環境になっている。顧客は小から極小になっており、マーケティングのやり方が、今までどおりでは上手くいかなくなってきた。そこで、我々が変わらなくてはならないと考えた」と、iPad導入の背景を説明した。
また、同社の営業マンの問題点として、思い込みにより、顧客とのコミュニケ-ションギャップが生まれているという問題があったという。
従来同社では、BlackBerryを導入していたが、添付ファイルが見れない、キーボードの押し間違いがあるという問題もあったため、iPadを採用したという。
そして、同社では、従業員数全1万1,000人のうち、営業社員約8,000名にiPadを配布することをトップダウンにより決定した。
ただ、ネットの活用について多田氏は、「競合会社の中には、インターネット中心にやっているところもあるが、対面でやっているところのほうが、顧客満足度が高い」と述べ、単に情報化を推進するだけではなく、ネットの強みと対面の強みを融合させたモデルが今後重要になるとした。
同氏は、iPadの導入の効果について、視覚に訴えてアピールできる点、持ち運べる資料が30種類から300種類になり、会社に戻らず、お客様に対応できる点、これにより持ち運ぶ荷物が軽くなった点を挙げた。
また、最近の営業は、コンプライアンス強化により、資料作りに時間もかかっていたが、iPadの導入で本社での一括アップデートが可能になり、営業が外交に専念できる環境が整ったという。
そして、同社では今後iPadをビッグデータに使い、高度なデータマイニングに活用していくという。