東京商工リサーチはこのほど、2010年度都道府県別赤字法人率の調査結果を発表した。同調査は、2012年6月公表の国税庁統計年報(平成22年度版)の法人税に基づき、2010年度の都道府県別の赤字法人率(普通法人)をまとめたもの。
2010年度の赤字法人率は、全国平均で75.7%(前年度比0.3ポイント上昇)となり、3年連続で前年水準を上回った。
都道府県別では19都府県で全国平均を上回った。赤字法人率が最も高かったのは、徳島の81.7%で4年連続首位となった。これに、長野(80.7%)、群馬(79.3%)が続き、上位3県の顔ぶれは3年連続同じとなった。その背景として、地場の観光業の低迷に加えて、リーマン・ショック後の地元経済の弱い動きが指摘されている。第4位以降は、栃木(79.0%)、神奈川(78.7%)、静岡(78.6%)の順だった。
これに対し、赤字法人率が最も低かったのは4年連続で沖縄の65.7%。公共工事に依存する地元建設業では、赤字決算だと公共事業の受注が難しくなるため、黒字捻出に重点を置く地元事情も影響したという。
赤字法人率の前年度比では、23都府県上昇。都道府県別では千葉の0.96ポイント上昇(74.54→75.50%)を筆頭に、宮城0.86ポイント上昇(75.41→76.27%)、茨城0.82ポイント上昇(74.61→75.43%)、宮崎0.71ポイント上昇(71.50→72.21%)と続き、上位には、千葉、宮城、茨城など東日本大震災で直接被害を受けた県が並び、震災の影響もうかがえる。
赤字法人数の増加率では、沖縄が前年度比1.5%増(12,063→12,253社)で最も高く、以降、千葉が同1.08%増(73,518→74,311社)、福岡が同1.03%増(61,529→62,160社)と続く。
これに対し減少率では、宮城が同8.6%減(28,958→26,446社)、岩手が同7.8%減(12,857→11,846社)、福島が同6.3%減(27,925→26,161社)の順だった。震災被害を受けた東北3県が上位を占め、被災により消息が判明しない法人の増加が背景にあるとしている。これを裏付けるように、2010年度の全国の普通申告法人数は前年比0.8%減だったが、都道府県別の減少率では、宮城が9.7%減で最も比率が高かった。次に岩手7.7%減、福島6.8%減、青森1.8%減、栃木1.6%減、茨城1.5%減と続き、被災した東北3県の減少率が群を抜いている。
産業別の赤字法人率では、10産業のうち7産業で前年水準を上回った。個別では、小売業が79.4%(前年度比0.02ポイント上昇)で最も高かった。以降、製造業78.8%(同0.94ポイント低下)、建設業77.0%(同1.61ポイント上昇)、農・林・漁・鉱業76.9%(同0.33ポイント上昇%)、情報通信業75.9%(同0.82ポイント上昇)、サービス業他75.5%(同0.40ポイント上昇%)と続く。