こんにちは、SMMLabの藤田です。
「LINE」は2011年6月23日、無料メッセンジャーソフトとしてサービスを開始して以来、通話、スタンプなどを提供。2011年11月500万、12月1000万人と着実にユーザーを増やし、今や全世界で4,500万人を突破、230を超える国や地域で使われる「コミュニケーションツール」となりました。日本ではスマートフォンユーザーの44%、2,000万人に月間アクティブ率82%という頻度で使われています。
LINEの特徴は5つ
・PCではなくスマートフォンベースで開発されたサービスであること
・オープンではなくクローズドなサービスであること
・リアルな関係性を重視したネットワークであること
・今までの友達との関係性を深めるものであること
・情報収集ではなく、感情をつなぐ、感情伝達のツールであること
特に「スタンプ」でのコミュニケーションは、今までに無い手軽さと気軽さで、新たなユーザー層を獲得してきました。
「LINE」はキャリアやデバイス、地域を超えて、人々をつないできましたが、今後は単なるツールの枠を超えて、人と人をつなげ、その先にコンテンツ、サービス、ビジネスをつなげる「プラットフォーム」への進化を目指すようです。
LINEが考えるプラットフォームとは?
1)大規模なユーザーベース
2)効果的にサービスがつながっていくか
3)マネタイゼーション 収益化は出来るか
1)大規模なユーザーベース
全世界で4,500万人まで成長。毎月新規ユーザーが500万人増えている。 国内では2000万人、スマホユーザーのうち44%にリーチ。 現在はさらに成長している。
2)効果的にサービスがつながっていくか
以下の二つのサービスでテスト
・「LINEカメラ」
LINEと連携してLINEの友達に写真を送れるアプリ
ノンプロモーションでどこまで普及できるかテストした。
13カ国でアプリランキングの1位を獲得。
1か月で500万ユーザー獲得。
・「公式アカウント」
2500万ユーザーを集めた。
⇒大規模ユーザーベースが活かされていると判断
3)マネタイゼーション 収益化
「スタンプショップ」
4月末リリースからの収益合計3億5千万円
現在も毎月5,000万円を売り上げている。
NHN Japan ウェブサービス本部/執行役員・CSMOの舛田淳氏は、LINEがプラットフォームになりうるかどうか、以上3つのポイントを慎重に検証した結果、プラットフォーム化の準備が出来たと考え、今回『LINE CHANNEL』の発表に至ったと語りました。
スマートフォンライフの新しいプラットフォームとしてエコシステムを構築する『LINE Channel』
新プラットフォーム『LINE Channel』は、パートナーと呼ばれる企業と共に、ゲームやクーポン、占いといった様々なコンテンツを有料、無料で提供します。共同開発といった段階を経た後、APIの公開や、フレンドリスト、メッセージファンクション、決済システム等のマッシュアップツールの提供も予定されています。
『LINE Channel』のラインナップ
・ゲーム
LINEでつながっている友人と一緒に遊べるネイティブアプリ形式のゲームサービス。いつでもどこでも、近くの仲の良い友人や遠方、海外の知り合いなどを誘ってゲームができます。LINEで使えるゲーム限定のスタンプなども用意する予定。
・トークノベル
第一弾の「リフレイン」は20万人の読者を獲得。講談社をコンテンツパートナーとしていますが、今後は出版社だけでなく、ケータイ小説的なのも想定し「LINEトーク作家」を育てる動きも検討。
・占い
マガジンハウスをパートナーに『an・an 占い・心理テスト』など総計200種類以上の占いメニューを一部有料で提供。
・クーポン
リクルートをパートナーに、まずはホットペッパーのコンテンツを提供。位置情報等も利用し、友達と情報やクーポンを共有出来るようにする。
・サウンドショップ
「スタンプショップ」と同様の仕組みの音楽コンテンツ販売サービスでレコチョクと提携。サウンドコンテンツを着うた、着ボイスに利用出来る。また友達へプレゼントしたり、トークでの音声・楽曲スタンプといった利用も可能。
そのほか、サーチQ&A、ショッピング、ギフト、ニュース、ロケーション、コミック、本、ミュージック etc. まさにポータルサイトのイメージであり、LINEはスマートフォンユーザーのサービスゲートウェイとしての展開をスタートします。
LINEプラットフォームはまず2012年内に1億ユーザーを目指して東アジアで展開し、新たにアメリカ、中国へ。日本のコンテンツを世界に流通させ、世界のコンテンツが日本で流通するエコシステムを築きたいとのことです。
『LINE Channel』内で提供される有料コンテンツを購入するために、新たに「LINE コイン」という仮想通貨を提供。ユーザーが「LINE コイン」を購入し、それを決済にあてることでパートナーのビジネスを成立させ、スマートフォンにおける新たなエコシステム(経済圏)の構築を目指します。
コミュニケーションツールに加え、ソーシャルネットワーキング機能強化
LINE上にテキスト、写真、動画、位置情報といった自分の近況をアップデートできる「ホーム」と、LINEでつながっている友人の近況をまとめて閲覧でき、友人の投稿内容に対してスタンプを使って感情を表現したり、コメントを残すことができる「タイムライン」を追加、SNSとしての機能が強化されました。
さまざまな機能が追加されても、シンプルに使えるという価値が最重要であり、コアバリューである友達とのコミュニケーションを妨げないように、むやみに外部との接続は避けるとの説明がありましたので、LINEは今後も「クローズド」なネットワークであり続けるようです。
マーケティングエリアでの可能性について
NHN Japan株式会社取締役ウェブサービス本部代表の出澤氏は、現在のマーケティングトレンドについて「スマートフォン」「ソーシャルグラフ」「エモーションシェアリング」という3つのキーワードを挙げました。
・スマートフォン
コンシューマーへのタッチポイントが増加させる最重要デバイス
・ソーシャルグラフ
そもそもインターネットの本質的な価値は二つ
1)情報へのアクセス 検索 ポータル
2)人々のつながり
TwitterやFacebookの登場によって、つながり方が進化し、情報の流れが大きく変化した。
今までは情報アクセスから人とコネクトしていたが、今は人とコネクトしてから情報を摂取するようになっている。
・エモーションシェアリング
感情の共有。
ソーシャルグラフには「バーチャルグラフ」と「リアルグラフ」の二種類がある。
「バーチャルグラフ」
つながって情報を取得するまでは有効だが、つながりが整理しづらい。
だからその後のアクションへの影響力が弱い。
「リアルグラフ」
実社会の人間関係を映し出すもの
小さな関係性のグループが複数出来る
信頼されたネットワークのため行動への影響力が強い。
会ったことがない専門家よりも身近な詳しい友人の情報が重要。
人々のつながりが深さは感情のつながりの強さに起因する。
インターネットとリアルをつなぐキーポイントは「感情」
Power of Leading to Action
エンゲージメント⇒エモーションシェアリングへシフト
マーケットプラットフォームとして重要なのは、企業とユーザーのエンゲージメントを助けるだけでなく、感情の共有を演出できるか。どれだけプラットフォームの中で演出・提供できるか。
エモーションこそが企業と消費者の本質的なエンゲージメントを作る。
スマホ×リアルグラフ=エモーションシェアリング
これがマーケティングプラットフォームとしてのLINEのコンセプト
LINEのマーケティング機能
1)オフィシャル公式アカウント
・強力なプッシュ・ノーティフィケーション
スマホの常時接続によって、クーポンなどが来店誘導につかえる他、リアルタイムにコミュニケーションが可能。
2)スポンサードスタンプ
オリジナルスタンプを通じて、友達同士の自然な会話の中でさりげなくブランディングが可能。
事例1:映画「アメージングスパイダーマン」
映画「アメージングスパイダーマン」ではオフィシャルアカウントとスポンサードスタンプの両方を使用。
公式アカウントは5月31日に開始し、2週間で100万人の登録。
スタンプは2週間で200万DL、6月末までに350万DLに達しました。
スタンプは2週間で1,700万回使われ、6月末までに3,000万回にまで増えた。
これは1日平均100万回使われたことになり、認知拡大に大きく貢献したと考えられ、招待券のプレゼントには172,544人が応募しました。
事例2:ローソン
コンビニエンスストアのローソンではオフィシャルアカウントからクーポンを配信し、それを店頭端末ロッピーで引き換え、割引で商品が購入できるというキャンペーンを実施。
開始から2週間で100万人が登録。通常のキャンペーンと比べて3倍の利用があった。
その7割がほかの商品をついで買いを誘発。
その他ファーストパートナーと予定されている取り組み
コカコーラ オリジナルスタンプ開始予定
ローソン オリジナルスタンプ開始予定
すき家 割引クーポン
ZIP 公式アカウント
ミュージックラバーズ
テレ朝 絶対に負けられない戦いがそこにある~サッカー応援
マツモトキヨシ 7月3日配信開始
GEO DVD割引クーポンなど 来週開始予定
以上のように、LINEのマーケティング機能はまだ限定的ですが、今回のプラットフォーム化によって、その可能性は大きく開かれました。ただ、友達同士のコミュニケーションという極めてクローズドな環境にどうやって企業が入っていくかは、なかなか難しい問題かもしれません。
Facebook、Twitterに続く新たなSNS市場として、LINEをどうマーケティングに活用していくか、今後も注目していきたいと思います。
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