5億人を超える中国のネットユーザー。その中でも若い世代を中心に、ほとんどの人が利用しているといっても過言ではないのが、"中国版Twitter"とでも言うべきマイクロブログサービスだ。本稿では、中国の世相を反映するツールでもあるマイクロブログの中でも人気の高い「新浪微博」(シンランウェイボー)から、ここ1週間ほどで盛り上がった話題をピックアップして紹介したい。7月2日に決着したiPad商標権を巡る訴訟の行方は、ミニブログでも大きな話題になった。
iPad商標権訴訟決着 得をしたのは……?
7月2日、広東省高級人民法院(日本の高等裁判所に該当)は、アップル社とProview Electronics(唯冠科技)社のiPad商標権を巡る訴訟で、和解が成立したと発表。アップル社が6000万米ドルを支払うことが決まった。
注目を浴びた訴訟だけに、新浪微博でも多くのコメントが飛び交った。
「お互いにとってよかったんじゃないか。これで唯冠の債権者も助かるし、アップルは最小の出費でiPadの商標権を得られたわけだし」
という意見がある一方、
「他の中小企業も真似しそうで嫌だ」
「唯冠、うまくアップルにたかったなあ。そんなことばっかりしてるから潰れたんだ」
「結局得したのは唯冠じゃなくて、(その債権者である)銀行ってことでしょ」 など、唯冠科技社に否定的な意見が相次いだ。
中国の古代貨幣にハングル? 韓国人学者が主張
「中国の古代貨幣にはハングルが刻まれていた」そんな報道がミニブログで話題となっている。
新浪微博のトピックスでは……
7月2日、韓国メディアが「中国古代貨幣の刀銭に韓字(ハングル)のような2文字が書かれているのが発見された。これは3千年前に既にハングルが使われていた証拠である」との韓国研究者の発表を伝えた、と紹介。
これに対し中国のネットでは、
「この下手な字? をハングルと言い張るか。すごすぎる。」
「春秋時代の『韓』じゃないの? 韓国じゃなくてさ」
「ハングルができたのは1443年だったはずでは……?」
「そのうち全人類は韓国人ってことになりそうだ」
など、ありえないとのコメントが殺到した。
今日の残業は何時間?
「2012年度職場人平均指数調査報告」が発表されたのを受けて、今週は「残業」も話題に上った。
新浪微博のトピックスでは報告書の内容を「中国労働者の平均的勤務時間は1日8.38時間。ただし、約30%の人が毎日10時間以上働き、最長では16時間働いている。またサラリーマンの6割がサービス残業を強いられている」と紹介。
「あなたの残業経験を一言」と投稿を募ったところ、関連コメントは1億近くに上った(7月4日現在)。
「うち、とんだブラック工場だよ! 何のためか分からない残業で、しかも残業代は出ないなんて!」
「毎晩残業で週末も休みなし。友達は不動産業はそういうものだというけれど、うちは不動産業とIT企業のしんどさを併せた新型苦会社だな」
「休みが足りないから効率が下がり、残業が発生する……なんなんだ、これ」 と、残業の疲れやしんどさに関するものが多い中、
「この3週間残業ばかり。週末はバスケやって、水泳して、寝て、マッサージ行く! ストレス発散する!」
と力強く宣言したものもあった。
「公務接待でフカヒレ禁止」法案 3年以内に成立見込み
「"公務の接待でのフカヒレを禁止する"法案が3年以内に成立の見込み」 そんな話題が新浪微博で話題になっている。
法案は、海洋生態系の保護と接待費の削減のため、とのことだが、ネットでは、
「フカヒレを禁止するだけになぜ3年もかかるんだ?」
「問題はそこじゃないだろう」
「燕の巣と熊に代わるだけじゃないか?」
と、あきれ口調のコメントが多い。
ちなみに今年の3月には、政治協商会議(中国各界の代表者たちが議員を務める、政策提言のための機関)の委員が、「公務の接待で茅台酒の飲酒を禁止する」議案を提出。話題を呼んだ。
退職年齢延長 ネットユーザーは大反対
日本と同じく、少子高齢化が社会問題となっている中国。
このほど政府社会保障研究所の専門家が発表した「退職年齢を延長すべき」との意見が、話題になっている。
現在の中国の退職年齢は、男性は60歳、女性は50~55歳が平均的(仕事により異なる)。
これを2045年までに、65歳まで延長しようというものだ。
10代~30代を中心とするミニブログユーザーに直接関わる問題だけに、新浪微博のトピックスには、
「死ぬまで働くのは嫌だ」
「宇宙船を飛ばす金はあっても、退職者を養う金はないのか」
「平均寿命は70歳ちょっとなのに、年金の支給は65歳からなんて」
「ホワイトカラーはまだいいよ。体を使う労働者は?」
と、反対のコメントが溢れた。