ブラザー販売は7月4日、同社のビジネス向けプリンタ・複合機「ジャスティオ」シリーズに関する新製品発表会を行い、同ブランドから複合機・プリンタ計5機種を発売することを発表した。加えて、「ジャスティオ」シリーズに、ドキュメントスキャナの新製品4機種を投入し、スキャナ市場に本格参入した。

このたび発表された主な機種

同社のプリンタ・複合機ブランドは、家庭向けの「マイミーオ」シリーズと、ビジネス向けの「ジャスティオ」シリーズの2つである。このたび、ビジネス向けの「ジャスティオ」シリーズに、新カテゴリにあたるスキャナ製品群が7月下旬より市場に投入される。同社の複合機にスキャナは内蔵されているが、スキャナ単体で製品化されるのは初めてとなる。

スキャナなどの新規事業を含め、全事業の拡大を計画

ブラザー販売 代表取締役社長・片山俊介氏

ブラザー販売代表取締役社長・片山俊介氏は、同社の行ってきた東日本大震災復興支援、ならびに2015年度までに売上高7,500億円、営業利益580億円を目指す中期戦略「CS B2015」に触れた。2011年度の売上高は4,974億円、そこから予想された2012年度の売上高5,360億円から、3年で1.5倍の成長を見込んでいる。こういった成長目標に触れた上で、新規事業を含め、全事業の拡大を図っていくと述べた。

中長期ビジョン「グローバルビジョン21」(左)、2015年度達成を目指す中期戦略「CS B2015」(右)

複合機の一機能ではなく、スキャナ製品を新発売する動機

ブラザー販売 取締役・三島勉氏

ブラザー販売 取締役・三島勉氏は、同社が担当する日本国内の販売事業において、2011年度連結売上高4,974億円のうち、プリンタや複合機、ラベルライターを扱う「P&S」事業の売り上げが67.8%を占め、同社事業の大きな柱であることを示した上で、今回新分野に参入した理由を説明した。

同社事業内容

同社の事業構成別売上高

同氏は理由として、ドキュメントスキャナ市場が2010年から2011年にかけて190%の急成長を遂げていること、ならびにスマートフォンやタブレットの普及やクラウドサービスの利用拡大などにより、文書の電子化ニーズが高まっていることを挙げた。また、スキャナをプリンタと同じチャネルで販売できる点も大きいという。

同社事業内容

同社の事業構成別売上高

想定ユーザーと使用シーン

同製品の中でも最上位機種の卓上タイプスキャナ「ADS-2500W」は、スキャンしたデータをFacebookやEvernoteなどのSNSに直接アップロードする機能や、iPhoneやAndroidスマートフォン(この機能のみADS-2000でも利用可能)に直接送信する機能を搭載し、データを扱う際の利便性を向上。FTPサーバに直接送信する「スキャン to FTP」に関しては、各社員のPCを経由せず直接FTPサーバにアップロードできるため、情報漏洩リスクの低減も図れるという。

PCを介さず、クラウドやモバイル端末に直接データを送ることができる機能を搭載

同社スキャナが搭載する動作面での機能。スムーズに複数枚の資料を読み込むための内容となっている

同カテゴリの目標販売台数について、卓上タイプ2機種、モバイルタイプ2機種の合計で年間5万台という数値が掲げられた。

年間販売目標台数は全モデル合計で5万台

モノクロレーザー市場の動向と新製品の強み

スキャナ以外に、今回A4モノクロレーザープリンタ・複合機計5機種が投入されたが、IDC JAPANのデータによると、A4モノクロレーザー市場は堅調に推移しているという。新製品では、プリント速度を高速化し、45枚の印刷を行う時間を約24秒短縮した。また、同社比でスリープモードからの復帰時間が約20秒から約4秒に大幅短縮した上で、待機時の電力も大きく削減。全モデルに自動両面プリントを、複合機には両面同時スキャンを搭載し、印刷コストを削減する機能向上が図られた。

A4モノクロモデルの新機種は、スリープモードからの復帰時間と待機電力を削減、ならびに両面プリントと両面スキャンによって省エネに対する機能向上が図られた

これら5機種のA4モノクロレーザープリンタ・複合機については、5機種合計の年間目標販売台数を3万台と設定。三島氏は、同市場におけるさらなるシェア拡大を図っていくとしった。

なお、同社はSOHOの複合機市場で圧倒的なシェアをもっているが、この分野にはエプソンなどが新たに参入してきている。この点について三島氏は、「市場自体が活性化されるのはいいこと」と、他社の参入を歓迎した。

年間販売目標台数は全モデル合計で5万台