デルは7月3日、2011年に買収したシステム管理アプライアンス「KACE」事業の戦略に関する説明会を開催し、来日したKACEの共同創業者であるロブ・マインハート氏が、デルがKACEを買収した経緯や買収後のKACE事業のビジネスについて説明を行った。
Dell KACE 共同創業者兼ゼネラルマネージャーのロブ・マインハート氏は、「ハードウェアを軸にビジネスを展開してきたデルだが、ここにきて、ソリューションベンダーとしての変革を図るとともに、デルが企業に対し完全なソリューションを提供するため、最後の分野であるソフトウェアに着手している。KACEはそんなデルにおけるソフトウェア事業の一翼を担うことになる」と、デルのビジネスにおけるKACEの位置付けを語った。
デルがKACEを買収した理由と経緯については、「答えは簡単。デルはKACEの管理対象のエンドポイント製品をグローバルで提供しているリーディングベンダーだからだ。デルとKACEのそもそもの出会いは、マイケル・デル氏が自身の家族による投資と社会貢献活動の運営するために設立したMSDキャピタルにおいて、KACEを使い始めたことにある。KACEの使い勝手の良さから、デルはKACEの製品を再販するようになり、数ヵ月で導入企業が100社に到達し、買収に至ることとなった」と説明した。
同氏は、「一般に買収された企業は買収元の企業に飲み込まれてしまうことが多いが、KACEの場合は、90%近くの従業員が現在もデルに所属しており、元は従業員120名だったところ、現在、KACE事業に携わる従業員は400名を超えている。顧客数も約1,200から6,000にまで達している」と、デルに買収された後もKACEのビジネスが順調であることをアピールした。
競合製品に対し、KACE製品がユニークである点としては、「中堅企業にフォーカスしている点」「IT管理者の幅広い業務をカバーしている点」が挙げられた。
デルは7月2日にIT管理製品ベンダーのクエスト・ソフトウェアの買収を発表したが、ほかにも、シン・クライアント機器を開発するワイズ・ テクノロジーやセキュリティ・ベンダーのソニックウォールを買収しており、KACEは今後、これらの製品を1つのプラットフォームで提供する方向へ統合されるという。
KACE製品の特徴については、デル KACEブランド・マネージメント シニア ブランド・マネジャーの守川啓氏が説明を行った。
同氏は、KACE製品の差別化要因として「マルチOS対応」「セルフインストール」「OSのイメージ管理」「低いTCO」を挙げた。
「KACEはマルチOSに対応しているが、なかでもMacをサポートしているのは強みだと思う。WindowsとMacをまとめて管理できるのは、企業にとってメリットが大きいはず。インストールが簡単な点もKACEの特徴だ。日本のKACEの顧客も自社でインストールしている場合が多い」
加えて同氏は、「KACEは日本語・英語・中国語・フランス語・ドイツ語・ポルトガル語と6言語に対応しているが、これらはワンタッチで切り替えることができる。この機能が決め手となって、KACEを導入した日本のグローバル企業はいくつもある」と、KACEがグローバル企業にとって使い勝手がよい点を紹介した。