清涼飲料の最大手「日本コカ・コーラ」(本社・東京都渋谷区)は、「富士電機リテイルシステムズ」(本社・三重県四日市市)との共同で、電力供給に比較的余裕のある夜間に冷却し、日中は冷却せずに済む自動販売機を開発した。2日から、猛暑で知られる埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の周辺に計12台を設置し、約2カ月間のフィールドテストを行う。

同社の発表によると、従来の自販機では、販売状況に応じて収納商品の一部のみを冷却して消費電力の抑制を図っているが、冷却機能を停止すると庫内の温度は徐々に上昇する。開発した自販機では、夜間に収納商品の全量を冷却する。さらに、外気温の影響を受けにくくする真空断熱材をより多く採用し、扉の気密性を高める改良などを行うことで、昼間に長時間冷却を停止しても庫内の冷気が逃げないようにした。

気温32℃の環境下で実験したところ、夜間に8時間冷却し、その後冷却しないまま最長16時間、商品を5℃以下に保つことができたという。日中は自販機運転だけの電力消費となるため95%の省エネ効果があるが、夜間に集中的に冷却するので、1日全体の消費電力は従来型と同程度になる見通し。このことから同社では今回開発した自販機について、冷却のための電力使用を、一般的な電力使用がピークとなる日中から比較的電力に余裕のある夜間にシフトさせた「ピークシフト型自販機」としている。

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