エーザイは、同社米国子会社Arena Pharmaceuticalsが、肥満症治療薬「BELVIQ」(一般名lorcaserin hydrochloride)について、FDA(米国食品医薬品局)より承認を取得したと発表した。このたびの承認は2012年6月27日(米国現地時間)、に行われたもので、米国における肥満症治療の処方薬としては13年ぶりとなる。

この薬剤はBMI(ボディ・マス・インデックス)が30kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の合併症を患うBMIが27kg/m2以上の成人患者の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として用いられるものだ。同薬剤の発売にあたっては、Arenaが生産し、エーザイの米国子会社であるEisaiが販売活動を行っていく。

米国疾病対策予防センターによると、米国において、成人の3分の2以上は肥満又は過体重であるとされており、肥満の割合は、1980年から2010年にかけて2倍以上(約15%から約36%)に増加している。肥満又は過体重は、糖尿病、脂質異常症、高血圧症といった合併症を引き起こす可能性があり、肥満又は過体重の増加は大きな社会問題となっている。

同薬剤は、Arena創製のセロトニン受容体アゴニストであり、選択的に脳内セロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し体重を減少させると考えられている。3つの二重盲検、無作為化、プラセボ対照臨床試験において、食事制限および運動に加えて本剤を服用した患者群が、食事制限および運動のみの患者群と比較して、1年後に5%以上体重が減少し、2年間体重減少を維持した患者数は有意に多く認められた。

この薬剤について、米国麻薬取締局(the U.S. Drug Enforcement Administration:DEA)による規制物質法にもとづくスケジュール審査が完了した後に発売される。また、発売後には、ポスト・マーケティング・スタディとして、小児の肥満患者における有効性・安全性に関する臨床試験を実施。それと同時に、長期投与による心疾患または複数の心疾患リスクを持つ、過体重又は肥満の患者における心血管系副作用の発症頻度に関する臨床試験を実施することが義務付けられている。この心疾患リスクに関する臨床試験では心エコー検査による評価を計画しているとのことだ。