日本HPは6月28日、昨年の12月に米HPが発表したSAP HANAプラットフォームに対応した新しいスケールアウト型コンバージド・アプリケーション・ソリューション「HP AppSystem For SAP HANA」向けに、「Scalable XL」モデルを6月28日から国内販売すると発表した。
このソリューションは、サーバだけでなく、ストレージやネットワークを統合した同社のアプライアンス「HP Converged Infrastructure」をもとに構築されており、同社のブレードサーバ「HP ProLiant BL680」、「HP BladeSystem c7000 エンクロージャー」、「HP 6600 Switch」、「HP StorageWorks SAN Switch」、「HP X9300 Network Storage Gateway(NFS用ストレージ)」、「HP P6500 EVA(HANA用ストレージ」を組み合わせ1ラックに収めたもの。最大4ラック、64CPU(640コア)、インメモリDBは8TBまで拡張できる。
価格は最小構成で6,937万2,000円~(SAP HANAのライセンスは含まず)。
日本HP エンタープライズ・グループ サーバー戦略室長 山中伸吾氏は、「ビッグデータ市場は、どういった情報から、何を使って、どうのように活用するかを検討する段階から、どのように構築するかを検討する『ビッグデータ活用前夜』の段階になっている。ビッグデータはストレージ、ネットワーク、サーバなどをトータルで考えることが重要だが、既存のシステムをそのままビッグデータのシステムに移行すると管理コストの増大を招く。そのためには、システムをシンプル化する必要があり、分析対象データの拡大に対応するため、スケーラビリティを持ったシステムにすることが重要だ」と述べた。
そして、SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部長 兼 Co-Innovation Lab Tokyo担当 馬場渉氏は、「ビッグデータの成功企業はこれまで標準化など地道な活動を行ってきており、突発的にビッグデータに対応したわけではない。企業が既存のシステムを直視せず、ビッグデータに対応することは難しい。日本のシステムがなぜ複雑性が増しているのかといえば、分割、複製、バッチが原因だ。そのため、ビッグデータ活用前夜に、基本アーキテクチャの刷新が必要だ」と語り、システムをその都度変更するのではなく、今回のシステムを採用し、10年後を見据えたシステムに刷新することが必要だとした。
山中氏は今回のシステムのメリットについて、「世界のSAPの46%は、HPのシステムで動作しており、我々はSAPさんがこれから何をしたいのかを熟知している。SAPさんは、次のHANA SP5でOLAPとOLTPの統合を目指しているが、今回のシステムなら、それができるようになる。これまで、弊社ではSAP向けのアプライアンス製品をいくつか出しているが、今回の世界初のブレードを使ったシステムが一番スケーラビリティが高い。ネットワークやSANストレージをオールインワンで統合しているため、インフラ設計が最低限で済み、非常に早く使えるようになる。OLAPとOLTPを統合しても、ストレージ専用のネットワークを備えているため、外部システム用のネットワークと別になっており、ネットワークがボトルネックなることがない」と述べた。
そのほか、SAP HANAのStanby Host機能に完全対応しており、Disaster Recovery SystemもSAPと共同で検証済みですぐに構築できるという。