デル 公共・法人マーケティング本部 サーバ ブランド マネージャー 布谷恒和氏

デルは6月28日、仮想化環境に必要なサーバ・ストレージ・ネットワーク・ケーブル・管理ツールをラッキングしたうえで出荷する検証済みパッケージ「Dell vStart」を発表した。同製品はVMware vSphereまたはWindows Server 2008 Hyper-Vに最適化した管理ツールも搭載し、導入・運用サポートサービスも提供する。

公共・法人マーケティング本部 サーバ ブランド マネージャーの布谷恒和氏は、「アプリケーションのインストール先が2010年を境に物理サーバから仮想サーバに変わってきた。また、顧客はハードウェアの構成には興味がなく、少しでも早く使えることを期待している。そのせいか、顧客からはデルの実績から典型的なハードウェアの構成を利用したいという要望をもらっている。デルで多く取り扱っている仮想化環境をまとめたものがDell vStartとなる」と、Dell vStartを発表した意義について説明した。

同製品は、「価値実現までの期間短縮」「効率性の向上」「将来に備えた拡張性」の実現を目指している。「従来のパッケージはあくまでリファレンス・アーキテクチャであり、サイジングのみされている。これに対し、デルは受注生産をやっているため、工場でハードウェア、ソフトウェアなどすべてを検証したうえで組み合わせて提供することができる。Dell vStartを購入した顧客は、梱包を解き、各種ケーブルを装着し、ネットワークに接続したあと、電源を入れるだけで利用可能になる」と同氏。

同社は仮想化環境に必要な製品を組み合わせての販売も行っているが、そうした「アラカルト」形式の購入方法と同製品を比べると、コストは変わらないが、導入までにかかる時間が短縮されるという。さらに、すべて組み立てた状態で納品されるため、「廃材がないので、それらにまつわる手間もかからない」(同氏)というわけだ。

「Dell vStart」の構成

具体的な製品構成は、ブレードサーバ「第12世代Dell PowerEdge」、iSCSIベースのストレージ「Dell EqualLogic」、スイッチ「PowerConnect」、管理ツール「Open Manage」「EqualLogic HITS Compellent Storage Center」、仮想化環境管理ツール「 VMware vCenter」または「Microsoft Windows Server 2008 R2 Data Center Edition」となっている。

今回はストレージとしてiSCSIベースの「Dell EqualLogic」を搭載したモデルとなっているが、今後はファイバチャネル対応のストレージを搭載したモデルのリリースも検討されているという。

「Dell vStart」のアーキテクチャ

製品ラインアップとしては、「VMware vSphere版」と「Microsoft Hyper-V版」があり、それぞれについて対応可能な仮想マシンの最大数が50台、100台、200台のモデルが用意されており、合計6モデルが提供される。「VMware vSphere版」には、VMware ESXi&vCenterの60日間トライアルライセンスがインストールされており、「Microsoft Hyper-V版」にはサポート対象の仮想マシン数が無制限のWindows Server 2008 R2 Data Center Editionがインストールされている。

VMware ESXi&vCenterのライセンスがトライアルである点について、同氏は「顧客がすでにヴイエムウェア製品を購入している可能性もあり、顧客の選択肢を広げるため」と説明した。

「Dell vStart」のポートフォリオ

参考価格は、仮想マシン数が50台までの「Dell vStart 50v」と「Dell vStart 50m」が1,456万688円、仮想マシン数が100台までの「Dell vStart 100v」と「Dell vStart 100m」が1,956万7,022円、仮想マシン数が200台までの「Dell vStart 200v」と「Dell vStart 200m」が3,068万4,598円からとなっている。

「Dell vStart」のモックアップ