Freescale Semiconductorは、エネルギー効率に優れたMCU「Kinetis L」シリーズの詳細を発表した。
機器同士の通信が拡大し、あらゆる場所でネットワークに接続できるようになる中、スタンドアロン型のエントリレベル・アプリケーションにおいても、インテリジェンスと機能性の増強が求められている。今回の「Kinetis L」シリーズでは、消費電力やコスト、占有スペースを増やすことなく、32ビットプラットフォームに移行でき、機器の付加価値を高めることができる。小型家電製品、ゲーム・アクセサリ、ポータブル医療システム、オーディオ・システム、スマートメータ、照明、電力制御など様々なアプリケーションにおいて、8/16ビットクラスの価格帯で、低消費電力と32ビット性能を実現できる。
「Kinetis L」シリーズでは、48MHz ARM Cortex-M0+コアの他、高速12/16ビットA/Dコンバータ(ADC)、12ビットD/Aコンバータ、高速アナログ・コンパレータ、低消費電力タッチセンサ(低消費電力状態からタッチでウェイクアップ)、モータ制御、幅広いアプリケーションに対応するタイマなどを搭載する。
ARM Cortex-M0+コアは、8/16ビットプロセッサと比べ、およそ1/3の消費電力で2~40倍の処理性能を有する。「Kinetis L」シリーズは、最新の低消費電力MCUプラットフォーム設計により、各種動作モード、独自のペリフェラルによって、コアのエネルギー効率を補完する。これにより、超低消費電力動作(VLPR)モードの消費電流では、50uA/MHzを実現した。また、低消費電力の状態から迅速に起動して、データを処理し、スリープ状態に戻ることができるため、各アプリケーションのバッテリ寿命を延ばすことができる。
同シリーズのペリフェラルは、MCUがディープ・スリープ・モードの時でも少ない電力で機能を維持することが可能。従来のMCUでは、データの送受信、波形生成やキャプチャ、アナログ信号のサンプリングなど、ちょっとしたタスクを実行するだけでも、メイン・クロックとプロセッサ・コアをアクティブにする必要があったが、同シリーズでは、コアやメイン・システムを巻き込まずにこのような機能を実行できるため、消費電力が削減でき、バッテリ寿命の改善が可能となる。
また、独自の薄膜ストレージフラッシュメモリ技術を活用しており、消費電力の少ないフラッシュメモリを実現。従来のアプローチを改善し、電荷を蓄積するナノスケールのシリコンアイランドを用意することで、典型的なデータ損失の原因に対するフラッシュメモリの耐性を高めている。
Kinetis Lシリーズは現在、特定ユーザー向けにアルファ・サンプルを出荷中。一般向けのサンプル出荷や開発ツールの提供は、2012年第3四半期に開始する予定。価格は1万個購入時で49セント。開発プラットフォームは、2012年第3四半期に出荷を開始する予定で価格は12.95ドルとなっている。