OKIと田中貴金属工業は、田中貴金属のプリント配線板事業をOKIが譲り受けることで合意したことを発表した。

田中貴金属が設立する新会社にプリント配線板事業を譲渡した後、OKIが新会社の株式の80%相当を10月1日付けで取得する旨の株式譲渡契約を6月18日に締結しており、これによりOKIではプリント配線板事業の国内シェアの拡大および、プリント配線板から最終製品組み立てまでの一貫受託生産事業の拡大を目指すとする。

OKIは、2010年度に策定した中期経営計画の中で、高度な生産技術と品質保証力を活かしたハイエンド型EMS(生産受託)事業を成長分野の1つとして位置付けている。同社のプリント配線板事業は1965年からスタートしており、80層基板の製造などの大型・高多層基板を中心としてきたが、今後のEMS事業の成長には、こうしたプリント配線板事業の拡大とともに、一貫生産体制のさらなる強化が求められていた。

一方、田中貴金属は、1970年よりプリント配線板事業を開始。高品質・高信頼性を背景に大型・高多層基板を航空・宇宙産業向けに提供するなど事業を進めてきたが、国内のプリント配線板市場の縮小などの影響から、事業構造変革によるプリント配線板事業の位置付け見直しが図られてきた。

今回の合意は、OKIから事業譲渡の提案を受ける形で田中貴金属がOKIのEMS事業の将来性・成長性を高く評価し、プリント配線板事業の確実な継承・雇用の維持ができると判断したことから至ったもので、OKIでは、この事業譲渡による生産拡大を機会に、EMS事業の売り上げとして2015年度に500億円を目指すとしている。

なお、株式譲渡の対象となる新会社の概要は以下の通り。

  • 名称:OKI田中サーキット株式会社(予定)
  • 所在地:山形県鶴岡市宝田1丁目15-68
  • 社長:未定
  • 事業内容:高密度多層プリント基板の開発、設計、製造、販売
  • 事業譲受後の資本金:3.5億円(予定)
  • 設立年月日:2012年9月(予定)
  • 従業員数:330人