ネットアップは6月20日、5月1日から始まった同社のFY13の事業戦略を説明。同社のストレージOS最新版「Data ONTAP 8」でサポートされたスモールスタートが可能な「Cluster-Mode」を武器に、より小規模な事業者向けにもシェアを拡大していく意向が示された。
ネットアップ 代表取締役社長 タイ・マッコーニー氏によれば、グローバル市場において、ネットアップの2012年度(2011年5月~2012年4月)の売り上げは62億ドル増、総収入は22%増になったという。また、日本市場においても売り上げを大きく伸ばし、ネットアップジャパンとして23%超の成長率を記録し、「働きがいのある会社」(中小企業部門)第2位に選ばれたという。
同氏はこれらの好調な要因として「革新的な技術」、「ネットアップの価値が顧客に理解され始めたこと」、「パートナーとのエコシステム」、「社員」の4つをあげた。
同氏は、同社の20年の歴史の中で、1990年台はファイルサービスやエンジニアリングサービスに、2000年代は効率化に注力してきたが、2010年代はイノベーションの新たな幕開けであるとし、そのキーワードとして「アジャイルデータインフラ」を挙げた。
アジャイルデータインフラのベースになるのは、「インテリジェント」、「ノンストップ」、「インフィニット」の3つのコンセプトで、これらのキーテクノロジーは、同社の最新ストレージOS「Data ONTAP 8」でサポートされた「Cluster-Mode」。
マッコーニー氏は、「これまで弊社は『インテリジェント』の分野で継続的投資を行い、Storage Efficiencyテクノロジーを提供し、顧客の時間とコスト削減をサポートしてきた。Cluster-Modeを利用すれば、計画停止の必要はなくなり、ノンストップ・オペレーションが実現する。クラウド環境共有インフラにおいて、このことはとても重要になる」と述べた。
また、3つ目の「インフィニット」に関して同氏は、スモールスタートから大きなシステムまで、ストレスなく拡張できることを強調。ここ数年、同社が開拓してきた「ユニファイドストレージ」に言及し、競合他社が同様のコンセプトを掲げて個々のシステムでSAN対応、あるいはNAS対応などを行っているが、先駆けて全製品単位であらゆるインタフェースに対応する「ユニファイド」を行っている同社にアドバンテージがあると締めくくった
そして、ネットアップ 技術本部 本部長 近藤正孝氏はCluster-Modeの具体的なメリットとして、「シームレスな拡張」、「統合ストレージの階層化」、「運用ライフサイクルへの対応」の3つを挙げた。
「シームレスな拡張」では、ストレージ容量が不足した際に、アプリケーション側からのビューは変えずにシームレスに容量を追加でき、追加したストレージを含め負荷分散させることができる点を、「統合ストレージの階層化」では、上位モデルと下位モデル、異なる世代、他社製品など、機種を揃えることなく、異機種のノードを混在させて利用できる点を、「運用ライフサイクルへの対応」では、ストレージを交換する際に、新たなストレージを追加し、そちらにデータを移行し、古いストレージの切り離すという一連の動作を、アプリに影響を与えずシームレスに行える点を挙げた。
そして、2013年度の販売戦略については、ネットアップ 営業統括本部長 岩上純一氏が説明。同氏は戦略として、「全国へのマーケット拡大」、「グローバル化」、「サポートサービスの強化」、「販路の拡大」、「ソリューションセールスへのフォーカス」、「Protect、Grow&Acquire(PGA)」の6つを挙げた。
「全国へのマーケット拡大」では、これまでの大阪、福岡に加え、新たに名古屋支店を追加し、これまでの東京一極集中から、ローカルをきちっとフォローする体制を整えるほか、グローバルでは、アジアに進出する日本の製造業をカントリーマネージャとの連携を強化しながらサポート体制を強化する。
「サポートサービスの強化」では、サポートセンターを中国の大連から日本に移管するなど顧客サポートを強化し、新たなパートナーを開拓し、これまでの大企業だけでなく、中規模企業への「販路の拡大」を図る。
そして、「ソリューションセールスへのフォーカス」では、これまでのCAE、ERP、PLMに加え、VDI、DR、分析などの分野にもフォーカスするほか、「Protect、Grow&Acqire(PGA)戦略」により、既存顧客の維持と同時に、新規顧客の開拓も重視するという。