Freescale Semiconductorは、第3世代のQorIQポートフォリオの要となるコアに依存しないシステム・アーキテクチャ「Layerscape」を発表した。
同アーキテクチャは、QorIQデータパス・アクセラレーション・アーキテクチャ(DPAA)の進化版・拡張版という位置づけながら、従来とはまったく異なるアプローチのネットワーク・システム・アーキテクチャで、ソフトウェアとプログラマビリティを前面に押し出したものとなっている。ハイレベルのルーティング決定からパケット・アクセラレーション/フォワーディング処理をモジュール化、レイヤ間の相互接続を最適化、同期化された実行完了処理モデルを活用、標準C/C++言語を使用してアーキテクチャ間で一貫したプログラミング・フレームワークをサポート、といった特長があり、ネットワークをソフトウェアレベルでリアルタイムに制御することが可能となるため、進化を持続することができるようになると同社では説明している。
モジュール型の構造を採用しており、個別に拡張可能な3つの独立レイヤで構成されている。このため、QorIQデバイス設計時に、必要に応じて各レイヤの拡張、縮小、削除を行うことが可能となり、アプリケーションごとに最適なソリューションを提供することができるようになる。
具体的に3つの構成レイヤ「汎用処理レイヤ(GPPL)」「パケット処理加速レイヤ(APPL)」「高速パケットI/Oレイヤ(EPIL)」となっており、GPPLは仮想クラウド・サービスやコントロール・プレーンなどのアプリケーション向けに最適化された汎用的な演算処理性能を提供する。APPLはハードウェア・マイクロアーキテクチャを抽象化した逐次的な同期実行完了処理モデルにおいて、自律的にパケット処理を実行することが可能なため、付加価値の高い機能をプログラムすることができるほか、Cベースの組込みプログラミング・モデルが可能となっている。
そしてEPILは、L2以上のスイッチ機能がサポートされており、すべてのネットワーク・インタフェース間で応答性に優れた最大100Gのワイヤ・スピード性能を実現するものとなっている。
同アーキテクチャをベースとした最初のQorIQ製品ファミリとしては「LS-1」ならびに「LS-2」の2品種が2013年中ごろに投入される予定。2製品ともにデュアルARM Cortexプロセッサ・コア、仮想化サポート、先進的なセキュリティ機能、先進のインターコネクト技術、共通のISA、ソフトウェア互換性/ピン互換性といった特長を備えており、両ファミリ間でシンプルかつスムーズなアプリケーション移行が可能だ。
LS-1ファミリは、最大1.2GHzで動作する2つのARM Cortex-A7コアを搭載した消費電力3W未満の組み込みプロセッサ。一方のLS-2ファミリは、最大1.5GHzで動作する2つのARM Cortex-A15コアを搭載し、総消費電力を5W未満に抑えたプロセッサとなっている。また、同アーキテクチャベースのQorIQは、将来的にPower Architectureも活用する予定だとしており、同社が拡張開発を続けるe6500コアも対応する予定だという。