シマンテック 代表取締役
河村 浩明氏

シマンテックは6月20日、2012年度の企業戦略と新たな教育プログラム「シマンテック・サイバーディフェンスアカデミー」に関する記者説明会を開催した。

シマンテック 代表取締役 河村 浩明氏はまず、昨年の震災以降の企業における事業継続計画の見直しや、モバイル端末やクラウドサービスの利用が広がったことなどに触れ「多様化するリスクの対応が重要な課題になっているが、利便性とリスクのバランスをとりながら、(ハードやソフトではなく)シマンテックは人と情報を総合的に保護」という点を他社との差別化として企業活動を進めていくと説明した。

同社の売上規模は順調に推移しているとし、過去3年間の日本の売上成長率について、2010年3月期(FY10)に対前年比で4%の成長であったのが、FY11は13%、好調に推移したというFY12は17%の成長と2年続けての二桁成長となったことを示し、あわせて同社の主力となる3製品群(セキュリティ製品、バックアップ製品、ストレージ管理製品)がバランスよく売上を伸ばしたことにも触れた。

またIDG Japanの資料を引用し、日本のバックアップ市場において2011年度にシェアトップとなったことを挙げ(グローバルではすでにトップシェア)、その要因としては、大企業や中小企業への顧客開拓などを中心に販売戦略が非常に効果を上げたとしている。

人と情報の保護にフォーカスしたソリューションを提供

FY12(2011/04~2012/03)の成長率は前年比17%増

今年の新たな注力事業では、企業におけるセキュリティのプロフェッショナル人材育成を支援するシマンテック・サイバーディフェンスアカデミー」の開設、2月に最新版を発表したデータ保護ソフトウェア「Symantec NetBackup」のライセンス販売に加えてアプライアンスでの提供を発表。

クラウドやモバイルにおいても、クラウドアプリへのアクセス制御などを個人や端末種類ごとに管理できるソフトウェアゲートウェイ「Symantec O3」や、「BYOD(Bring Your Own Device)を超えて、BYOA(Bring Your Own Application)の実現を目指す」として、モバイル端末の個人用/業務用のアプリやデータのポリシー設定などを可能とする「NUKONA」を展開していくとした。

NetBackupアプライアンスやSymantec O3については、今後詳細が発表される予定。

同社のメールセキュリティエンジンは全世界の25%のメールをスキャン

今期中にNetBackup アプライアンスの提供を開始

このうち「シマンテック・サイバーディフェンスアカデミー」は、企業の情報セキュリティエンジニアやネットワークセキュリティを提供しているサービス事業者などを対象とした企業向けのサービス。

標的型攻撃などといったサイバーセキュリティの脅威が増す中で、スペシャリストとしての高度な専門知識の習得を目的としており、同社のセキュリティに関する知見やベストプラクティスをベースにナレッジトレーニングを提供することで、セキュリティに強い企業インフラの構築を支援するものだという。

アカデミーは9月から提供を開始する予定で、当初は、ネットワーク管理者やシステム管理者など現場の技術担当者向けに、サイバー脅威の検知・解析を学ぶ「Cyber Threat Detection (サイバー スレット ディテクション)」コースと、技術部門のマネージャー向けに、情報セキュリティ事故が起こった際の対応や解決を学ぶ「Cyber Incident Response & Recovery (サイバー インシデントレスポンス & リカバリ)」の2つのコースを用意し、順次コースを増やしていく予定としている。

「Cyber Threat Detection」コースでは受講者がさまざまな評価ツールを体験できる演習も行われ、各コースとも1クラス10人程度、5日間で計35時間の受講内容で、受講価格は1人あたり50万円程度(税抜)となっている。

ゼロデイ攻撃やAndroid端末を狙った攻撃など脅威は増している

「シマンテック・サイバーディフェンスアカデミー」概要