読売巨人軍は、東京ドームにおいてファンサービスの一環として、メモリアルチケットやフォトセットチケットの販売を行っているが、その受付業務端末としてiPadを導入した。
メモリアルチケットは、オリジナルデザインのチケットに、好きな選手の写真や当日ドームで撮影した写真を貼り込んだ特性のオリジナルカードで、価格は1,000円。このカードには、当日観戦した座席番号のほか、裏面には当日の試合結果や各選手の成績も印字される。来場記念に購入する人が多い。
また、メモリアルチケットに当日のゲームから厳選した選手写真4枚がついたセット商品「メモリアルチケット+L版フォト4枚」(1,800円)も販売されている。
販売しているのは、東京ドームの21番ゲート近くのフォトGステーションだ。このサービスを利用するのは、7割以上がリピーターだという。
希望者は申し込み書に記入し、その後、記念撮影を行う。実際の商品は2-3週間後に発送されるため、申し込みの際には住所等を記入してもらう必要がある。当初、これらの情報は受付時に記入/確認してもらっていたが、現場で長蛇の列ができる日もあり、その管理や警備においてかなり負荷がかかっていた。
また、事務局側においては、受付での記入間違いも多く、それをテキスト化する段階でも時間/費用がかかる上、入力ミスが発生するという課題があったという。
そこで、会員情報システムを新たに作成し、データベースに顧客情報を会員情報として登録。一度購入した人は、情報にアクセスするための名前や電話番号など、最低限の情報のみを記入するだけで利用できるように改めた。
会員情報システムといっても、それほど複雑なものではない。データベースにはFileMakerを採用し、サーバはパソコン(Mac)を利用している。新規の場合は、あとでスタッフがデータベースに登録する必要があるが、2回目以降の場合は、電話番号をキーにiPadからFileMaker Go For iPad&iPhoneを使ってサーバにアクセスし、会員情報を確認する。
また、カメラとの連携もはかられ、当日現場で撮影した自身の写真もiPad上で確認することが可能だ。これにより、住所/氏名の確認も含め情報精度が向上し、受付時間の短縮も図られたという。
システム化に際して重視したのは、ポータビリティ、安価、使いやすさだという。システムにはインターネット回線は必要なく、市販の無線LANルータによるWi-Fiで通信を行う。持ち運びも自由で、利用場所も限定されないのが特長だ。会員情報システムという大がかりなものを想像しがちだが、これならハードウェアだけであれば数十万円で構築できる。小規模な会員システムの好事例だろう。